ゴーマン「麻生太郎」のせいで福岡県知事選は惨敗 財務相も引責辞任したら?

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“ダメ押し”の忖度発言

 小川氏は昨年12月下旬に3選出馬を正式表明した。別の自民党関係者によると、麻生氏は側近の自民県連幹部を動かして、意中の元厚生労働官僚・武内氏の県連推薦を決める一方、安倍晋三首相はじめ党本部執行部に「推薦が取れないなら副総理を辞める」と凄み、武内氏の党推薦をもぎ取ったという。党独自の事前調査でも「負け戦」同然の選択であり、麻生氏の“暴走”だった。

 むろん、道理に欠く麻生氏の手法が、身内の反発を惹起しないわけがなかった。二階派中堅で党副幹事長の武田良太衆院議員らが、公然と小川氏支持を打ち出した。その数、福岡県選出の衆院議員11人のうち、二階派の3人を含む6人に上った。党の決定に背く「反党行為」であるが、「小川いじめ」とも受け取れる麻生氏の動きに疑念を抱く「県内世論」も彼らを後押しした。

 自民党関係者によれば、麻生氏サイドからは「造反者に対しては次期衆院選で党が公認しない」と“脅し”ともいえる情報が流されたという。しかし県内では、日を追うごとに「反麻生包囲網」が広がる。「麻生1強」の流れを崩したい古賀誠元幹事長や山崎拓元副総裁ら福岡県の有力OBも、小川氏支援に回った。地元経済界や自民党支持団体の多くも小川氏を支え、公明党・創価学会も同調した。

 麻生氏への“ダメ押し”となったのが、選挙戦終盤の4月1日に行われた武内氏の集会で、麻生氏の元秘書で麻生派所属の塚田一郎前国土交通副大臣が地元の道路建設をめぐり安倍首相と麻生氏に「忖度した」と発言し、同5日に副大臣辞任に追い込まれたのだ。麻生氏も「万事休す」となった。

「今回の知事選を含む一連の県内選挙で、麻生氏が唯我独尊よろしく自身の主張を強引に通してきた背景には、安倍首相から特別扱いされている自負と傲慢さがあるのではないか」。自民党閣僚経験者はこう手厳しく指摘する。

 麻生氏といえば、これまでも失言や暴言を繰り返して政局を混乱させてきたが、安倍首相に絶えず守られてきた。菅義偉官房長官とともに2012年末の第2次安倍政権発足以来「内閣の屋台骨」とされ、政権運営上、頼らざるを得ない存在だからである。昨年10月の自民党・内閣人事で、首相が周囲の不安を押し切って麻生氏を続投させたのも、最たる例だ。「安倍1強」を謳歌する首相の右腕たる麻生氏は、政権にとっては「切るに切れない」のである。そんな環境に麻生氏が安住してきたということだ。

 しかし、今回の知事選での麻生氏の蹉跌は、安倍政権の政権運営に大きな後遺症を残すことは間違いないだろう。麻生氏に対する責任論もさることながら、今年最大の政治決戦となる夏の参院選に向けて、党内の結束を再び固めるのも容易ではない。

「昨今、安倍政権から露呈し始めている『1強』の緩みや慢心が、福岡でも表面化したということだ。麻生氏を放任してきた首相の責任も大きく、福岡での『麻生1強』の落日は、中央での『安倍1強』の瓦解につながりかねない」。自民党関係者はそう天を仰いだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月9日掲載

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