【ボリビア戦】リオ五輪で落選の「橋本拳人」が最大の収穫、本人も「役割を果たせた」

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攻撃は“各駅停車”の体たらく

「頭ではわかって」いても、「それが実践できない」————3月26日のボリビア戦の正直な印象だ。

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 22日のコロンビア戦からスタメン11人を入れ替えた森保ジャパン。守備では4-4-2の布陣で前線からプレスを掛け、それが通じない時は2列のブロックを作って守る。

 そして攻撃ではプレスによるボール奪取からのショートカウンターや、カウンターができない時はサイドに人数をかけて1タッチや2タッチのコンビネーションで崩してフィニッシュを狙う――。

 昨年9月のスタート以来、取り組んできたスタイルでもある。しかし、ロシアW杯以来の代表復帰となる香川真司(30)と宇佐美貴史(26)、そして乾貴士(30)の3人以外の代表歴はいずれも1桁止まり。

 西大伍(31)と安西幸輝(23)、鎌田大地(22)はボリビア戦が2試合目、橋本拳人(25)と畠中槙之輔(23)にいたっては代表デビュー戦だ。これではコンビネーションによる崩しなど期待するのは酷というもの。

 実際、試合は日本がボールを支配し、前半のボール支配率は日本が72.3%、ボリビアが27.7%と圧倒した。しかし日本の攻撃はというと、確実にパスをつなごうとしたためボールをトラップしては、誰に出すか探している“各駅停車”のため、なかなかスピードアップしない。

 かろうじて香川と乾がリターンパスでの突破を図ったものの、久しぶりの実戦とあって息が合わず、ボールを支配してもゴールの予感がまったく漂わない前半でもあった。

 そんな流れが変わったのは、やはり宇佐美に代わり堂安律(20)、乾に代わり中島翔哉(24)、そして香川に代わり南野拓実(24)の“新三銃士”が投入されてからだった。後半31分、相手のパスミスを拾った堂安がドリブルでカウンターを仕掛け、南野、中島とつないで決勝点を奪った。

 コロンビア戦でも中島は「攻撃のスイッチ」となっていたが、ドリブル突破をスタートする位置がハーフライン付近のためゴールから遠かった。南野や堂安とのコンビプレーでも、なかなかペナルティーエリアまで侵入できず、その結果、ミドルシュートが多くなったと言える。

 ボリビア戦の決勝点は、カウンターから中島がペナルティーエリア内でパスを受けて決めた。それ以外のプレーでも、例えば後半アディショナルタイムの46分には堂安からのパスを左サイドで受けるとリフティングで運んでクロスを送るなどファンを沸かせた。

 日本の攻撃陣の中心となった“新三銃士”だが、彼ら3人によるコンビネーションを活かすためにも、いかにして3人がペナルティーエリア付近でプレーできるかが今後のチーム作りの課題になる。

 本来なら、そのためのキープレーヤーが大迫勇也(28)だが、今回のように彼の不在時にどうするかは喫緊の課題だ。

 そのボリビア戦では、他にも明らかになったことがある。香川は“活かしてくれる”選手が周りにいてこそ輝けるタレントであることだ。

 鎌田は1トップではなくトップ下、あるいは後半に見せたパスセンスからボランチのほうが適任ではないだろうか。むしろ交代で入った鈴木武蔵(25)は短い出場時間でも躍動感のあるプレーで可能性を感じさせた。

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