相棒、トレース、メゾポリ…視聴率だけではわからない「刑事ドラマ」本当の評価を分析

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個人視聴率での明暗

 まず5本の刑事ドラマを、男女年層別の視聴率で比べてみよう。

「相棒」の世帯視聴率は、秋冬の2クール平均が15.3%と、今期全ドラマの中で断トツだった。ところが関東2千世帯5千人超の視聴率を調べているスイッチ・メディア・ラボによれば、荒稼ぎしているのは男女65歳以上の高齢者で、49歳以下ではさほど見られていない(図1)。広告主から見れば、世帯視聴率の割にCM出稿したいと思わせるような番組になっていない。

 テレビ朝日はGP帯(夜7~11時)に週3本ドラマ枠を持つ。うち2枠は刑事モノやミステリーと事件モノと決まっている。今クールは「相棒」と「刑事ゼロ」だったが、沢村一樹と瀧本美織コンビが活躍した「刑事ゼロ」も、世帯視聴率こそ11.3%と、刑事モノ5ドラマの中では「相棒」に次いで好調だった。

 ところが数字を稼いだのは、やはり男女65歳以上の高齢者。男女とも50~64歳では4位に後退し、49歳以下に至ってはあまり見られていない。世帯視聴率も性年齢別個人視聴率も、いわば「相棒」が小ぶりになった格好で、やはり広告主からするとあまり魅力的に映らない。

 主人公を76歳の北大路欣也が務めた「記憶捜査」だと、レーダーチャートはさらに極端になった。男女65歳以上は3位でまずまず。ところが50~64歳では2~3%台、35~49歳は1%台、10~20歳代では1%以下で、いずれの層も最下位だった。

 一方「トレース」「メゾン・ド・ポリス」のレーダーチャートは、共にバランスが良い。世帯視聴率で2桁を維持し、しかも若年層から高齢層まで、まんべんなく見られた。特に錦戸亮と新木優子のコンビが際立った「トレース」は、男女とも49歳以下の全層でトップだった。広告主にとって、最も魅力的な枠となった。

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