日韓関係悪化なんてガン無視! 「オルチャン」になりたい日本人女性急増中のワケ

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韓国人から見て「オルチャンブーム」が奇妙な理由

 こんなにも流行っている「オルチャンメイク」だが、先ほども述べた通り、韓国では大昔に流行ったメイクとして位置づけられている。2003年頃に流行ったメイクを、2019年になって日本人の間で「韓国風メイク」や「韓国人顔になれるメイク」として人気であることに対して韓国人はどう思っているのだろうか。

 私が仕事で出会った、韓国で「オルチャン」という言葉が流行った頃に中学生だった韓国人女性は、「ただただ不思議、奇妙」と話してくれた。「オルチャン」はあくまでもメイクの名前ではなく「顔が最高にかわいい状態や人」を表す言葉であって、言葉自体が大流行した記憶はない。2019年現在の日本を歩いていると、当時を思い出すような古いメイクをした日本人がたくさんいてタイムスリップしたような気分、とのことだった。

 現在の日本でのオルチャンメイクブームを奇妙に思っている韓国人は彼女だけではないようで、韓国で人気の美容系YouTuberが「日本であの頃のメイクが流行っているらしい!(笑)」というような動画を投稿していたり、日本人向けにオルチャンメイクをレクチャーするため「私が大昔やっていたメイクを再現します」という内容の動画を投稿していた。

 日本で流行している「オルチャンメイク」と「今、韓国人がしているメイク」には15年以上の時差が生じているのだ。しかし、スマートフォンを器用に操り世界中と繋がりを持つ世代がそんなことも知らないはずがない。それにもかかわらず人気なのはやはりオルチャンメイクが写真で「映える」からではないかと思う。私がオルチャンメイクにハマった中学生の頃よりも、InstagramやTik Tokなど画像や動画のコンテンツが盛り上がっている今、画面上で映えるかどうかは大きな価値基準になる。

日韓関係悪化でも止まらないオルチャンへの憧れ

 韓国カルチャーの集まる街、新大久保には連日、韓国のコスメやグルメを求める若い女の子たちが足を運んでいる。新大久保駅は2017年度に乗客数の伸びが前年比9.8%増と、最も大きかった駅となった。最近では入場規制がかかることもある。

「冬のソナタ」がブームとなっていた時代は、ヨン様を応援していたお母さんたちが韓国ドラマを字幕無しで観られるようになりたい!と韓国語教室に通い言葉を学び、韓国旅行に行っていた。

 しかし、そのブームは日韓関係の悪化により「自粛ムード」が流れ、収束していった。新大久保を訪れる人も減り、数々の韓国料理店やグッズショップなどが潰れて街が閑散としていったのをよく覚えている。

 しかし、10代が主役の第3次韓流ブームは政治の情勢や日韓関係の悪化になびかない。

 今回の第3次韓流ブームのアイコン的存在でもある、大人気の韓流アイドルBTSのメンバーの1人が、原爆がデザインされたTシャツを着ていたことが発覚し、大きなニュースとなったのは記憶に新しい。

 この事件は大きな波紋を呼び、彼らの紅白歌合戦の出場がこの件によって取り消されたのではないか?との噂も流れたほどだ。しかし、彼らの人気はまったくと言ってもいいほど衰えていない。騒動後に日本で行われたドームツアーは超満員で約38万人を動員した。

 BTSのTシャツ問題だけでなく、日韓関係の動静については連日ニュースで取り上げられるほど、とても良い状況とは言えない。それでも第3次韓流ブームが盛り上がり続けているのはなぜだろう。

 それは、彼女らが、韓国を「国」としてではなく「かわいい」として捉えているからだと私は考える。

 今年1月に、韓国が好きだという高3女子に、なぜ韓国が好きなのか?とインタビューすると「かわいいと思って好きになったものがたまたま韓国のものだっただけ」と話してくれた。

 この言葉には「あぁそうか」と納得した。今、彼女らが「かわいい」と思う価値観に韓国のものが当てはまった、ただそれだけのことなのだ。つまり、中国やベトナムのブームが来ることだってあり得なくはないということだ。

 だからこそ彼女らはそこまで熱心に韓国語を勉強したり、韓国旅行に行くために貯金をしたりはしない。わざわざ苦労して韓国に行かなくても韓国コスメは新大久保やネットで買えるし、日本で楽しめる「韓流」をみんながこぞって求めている。一見「にわか」な姿勢に見えるが、リアルな韓国を求めないこの姿勢こそが第3次韓流ブームを盛り上げているのだと思う。

 もはや韓国本国では忘れ去られている「オルチャン」を「韓国のかわいい」として受け入れ、韓国に憧れを持つ「オルチャン世代」は、日韓関係の悪化のなかでも盛り上がりを見せる第3次韓流ブームを牽引し続けるだろう。

もーちぃ
1999年2月20日生まれの20歳、大学2年生。女子大生マーケター、オルチャン評論家として活動中。新大久保在住、自称「新大久保に日本一詳しい女子大生」。ブスである。圧倒的負け組人生を挽回しようと日々奮闘している。特技は自撮り。

2019年3月27日掲載

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