金満球団「巨人」、今年の外国人選手は10名、いくら何でも多すぎやしないか

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「10人は多すぎる」の指摘

 こんな風にして巨人は外国人選手を“切り盛り”していくわけだが、「本当に10人も外国人選手が必要なのか?」と疑問に感じる向きも少なくないだろう。

 野球評論家の広澤克実氏(56)は「私も同感です」と頷く。ご存知の通り広澤氏は、ヤクルト、巨人、阪神でプレーした経験を持つ。

「フロントの基本姿勢として、外国人選手の穴埋めは外国人選手で行います。それこそ球団は、外国人選手の私生活もなるべく把握しようとします。奥さんの出産や、家族の手術などがあれば、外国人選手はシーズン途中でも本国に帰ってしまうこともあるからです」

 リスクマネジメントとして“余剰人員”は必要ではある。とはいえ、9球団は7〜4人で回している。巨人が毎年優勝しているのなら「豊富な外国人選手」を勝因に挙げることもできるが、昨年にセパを制したのは7人の広島と6人の西武だ。

 なぜ巨人は外国人選手に“依存”しているのか。広澤氏は「やはり日本人選手の育成に失敗しているからです」と指摘する。

「14年のドラフト1位だった岡本和真(22)は著しい成長を見せましたが、巨人ファンでも『他の成功例を挙げろ』と問われれば、それほど名前は思い浮かばないでしょう。ドラフトで獲得した選手をしっかり育てていないからこそ、FAと外国人選手に頼るしかないわけです」

 毎年、ドラフトが話題になる日本ハムの外国人選手が、12球団で最も少ないのも、決して偶然ではないようだ。広澤氏は根本的な問題点として、外国人と育成選手の“枠”にも異議を唱える。

「規則上は、ピッチャー1人と野手3人を出場させることができるわけです。これは9人全員が外国人選手であるという状況と、それほど変わらないでしょう。90年代まで試合に出場できる外国人選手は2〜3人で推移してきました。往時の数に戻せば、歓迎するファンは少なくないのではないでしょうか」

 育成制度についても広澤氏は、巨人のみならず「プロ野球界が充分に若手を育てているとは思えません」と警鐘を鳴らす。

「育成制度の原点は、不景気などで社会人野球の裾野が減少した影響も大きく、プロ野球界が若手の育成を肩代わりするという意義がありました。ただ、理念は立派でも、現場の限界があります。言葉は悪いですが、今は単なる“不良在庫”と化している現状も少なくありません。選手の一生がかかっているのですから、これは大問題でしょう」

 もし支配下登録選手の数を減らし、育成枠を撤廃すればどうなるか。“金の卵”が野に埋もれる危険性も否定できないが、独立リーグが受け皿となり、野球ファンの裾野が広がるというシナリオが理想的だろう。

「背景の1つに、コーチが厚遇されていないという現状があります。選手として実績を持ち、見識も優れた人ほど、それ以上の収入を講演で稼いでしまう。一方、巨人のゲレーロなど、“不良在庫”と批判されてもおかしくない外国人選手がいます。外国人枠を見直し、各球団とも浮いたお金をコーチの年俸に回せば、それこそ12球団がしっかりと若手を育てられる環境が整うはずです」

 かつて外国人選手は“助っ人ガイジン”と呼ばれたが、今のチームで本当に助けが必要なのはコーチらしい。ちなみに、Jリーグはコーチをライセンス制にすることで指導力を向上させたのは有名な話だ。NPBも参考にすべきかもしれない。

2019年3月10日掲載

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