ヤマダ電機と業務提携も… 「大塚家具」久美子社長の土俵際

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 株価は、日々、気まぐれのように上下しているが、その実、企業の将来を占う「先行指標」でもある。経営者があれこれ取り繕っても、マーケットは冷静に見ているものだ。

 大塚家具が約32億円の赤字決算を明らかにしたのは2月15日のこと。昨年に続いて3期連続のマイナスである。4年前までは180億円を超すキャッシュや有価証券を持っていた同社に残っているのは、もう38億円ほど。

「直近の決算短信を見ると、この1年で土地や有価証券などを売り払ってお金を捻出しています。それでも、最終赤字になってしまったのですから、財務的にはかなり厳しい」(税理士の浦野広明氏)

 資産がどんどん減ってゆくとなれば、お客も投資家も疑心暗鬼になる。それを払拭しようとしたのだろう。同社は38億円の第三者割当増資と、ヤマダ電機との業務提携を発表する。だが、株価は無慈悲にも15%以上も急落したのである。

 その、火ダルマの大塚家具に救いの手を差し伸べたのは、「ハイラインズ」という中国系の投資会社だ。どんな経緯だったのか。

 大塚家具の大塚久美子社長(51)が、スポンサー探しのために奔走し始めたのは昨年6月ごろからだった。何しろ、このままだと、2019年中にも内部留保が溶けて無くなってしまうのだ。

「10社以上に資金援助を打診したそうですが、どこも返事はノー。一昨年に業務・資本提携した貸会議室大手のTKPも断った。それというのも、久美子氏が社長を続けることにこだわっていたからです。国内にはもうお金を出してくれるところが見つからず、最後に頼ったのが、提携先の中国企業『居然之家』から紹介されたハイラインズだったのです」(経済紙記者)

 大塚家具によると、この資本提携によって中国にパイプをつくり、有名大手EC「阿里巴巴(アリババ)」で家具を売ってゆくという。しかし、株式の50%以上をハイラインズなど外国人に握られることになる。つまり、大塚家の会社ではなくなってしまうのだ。

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