ウソを拡散するいんちきマナー講師の“罪” 特に「就職マナー」講座は要注意!

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 昨今、書店にはマナー関連の本がずらりと陳列されている。テレビ番組でも度々マナー特集が組まれ、講師が作法のできていないタレントを正す場面もよく見られる。しかし、もし世に存在するマナーのいくつかがマナー講師による創作で、実はなんの根拠もないものだったとしたら……。

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“部屋に入るとき、ノックは3回”
“暑くてもスーツの上着は脱がない”
“取引先で出されたお茶には手をつけてはならない”

 マナーブームが盛り上がりを見せている昨今だが、上にあげたように非合理的だったり、明らかに嘘とおぼしきマナーも存在するようだ。『本当に必要とされる最強マナー』(日本文芸社)などの著書のあるコラムニストの石原壮一郎氏は次のように語る。

「代表的なのは『“了解いたしました”は失礼だから“承知いたしました”を使うべき』というマナーですね。これは国語辞典編纂者の飯間浩明氏によってきっぱり否定されています。『いたしました』という言葉だけですでに敬語としては十分なので、『承知』まで使わなくても失礼にはあたりません。それから、未だに会社の代表電話にかけてから繋いでもらうのがマナーだと思っている人がいます。携帯電話があるこのご時世で、わざわざ取り次いでもらい手間を取らせるほうがマナー違反。担当者の携帯に直接かけるほうがお互いに幸せです」(石原氏、以下同)

 ほかにもこんな事例がある。2018年8月テレビ朝日系「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」で放送された「(酒の席で客人のおちょこに日本酒を注ぐ際に)とっくりの注ぎ口を使うと失礼」というマナー。丸いふちにある注ぎ口が縁の切れ目を連想させるため、マナーとして良くないという理屈である。

 しかし、これに対してネット上では懐疑的な意見が噴出し、とっくりメーカーや酒造メーカーまでもが「聞いたことがない」「本当かどうか分からない」と見解を示した。

 何故、このような意味不明なマナーがまかり通っているのだろうか。

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