「八千草薫」がん公表後も「やすらぎ」撮影 マネージャー明かす

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〈一昨年の年末にすい臓に癌が見つかり……今年に入りまして肝臓にも……〉

 2月9日、所属事務所のホームページを通じ、がん闘病を告白した八千草薫(88)。昨年1月にはすい臓全摘出の手術を、さらに今年1月には転移が判明し、決っていた仕事の降板と治療に専念する旨を発表した。

 4月から始まる倉本聰氏脚本の「やすらぎの刻(とき)~道」は既に撮影が開始されていたというが――。

 前作「やすらぎの郷(さと)」では石坂浩二、浅丘ルリ子らと老人ホームで暮す九条摂子役を演じた八千草。今回はその続編であり、と同時に石坂演じる元脚本家が描く“脳内ドラマ”が交錯するという2層構成のドラマとなる。

 その今シリーズで重要な役どころとなる“脳内ドラマ”でのヒロインを演じるはずであったが、風吹ジュンが代りを務めることとなった。

「でも、本人の思い入れがひと際強い倉本先生の作品、先生のたっての希望もあり、2役務めるうちのもう1役だけは、病を押して撮影に臨むつもりなんです」

 そう話すのは、マネージャーの原田純一氏。

 上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏が事情を明かす。

「八千草さん演じる摂子は、実は前作で死んでしまっているんです。続編があるなんて倉本さんは考えていなかったので。ただ彼にとって八千草さんはシリーズに欠かせぬ象徴的存在。どうしても出て欲しくて、今回、“脳内ドラマ”という離れ業を考え出したわけなんです……」

 1月に肝臓への転移が分ると、八千草は真っ先に倉本氏に相談したという。

「摂子役の続投だけはと、台本を大幅に書き換えてくださいました。その熱意に打たれたんです。とはいえ、もう亡くなっている役柄、石坂さんの夢枕に出たり、天の声のような短い場面での登場となります。それでも本人は“がんばるしかないわね”と嬉しそうに漏らしていました」(原田氏)

 がんにも負けない渾身の演技に期待――。

週刊新潮 2019年2月21日号掲載

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