70歳で政界転身の老舗「山本海苔」副社長 本人語る“区長選出馬”のワケ

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 三十にして立つ。孔子は自らの人生観をこう説いたが、古希を迎えて選挙への立候補を決意した人物がいる。創業1849年(嘉永2年)、「山本海苔店」の山本泰人(たいと)副社長(70)だ。

「4月に行われる中央区長選挙へ出馬することを決意しました」

 とは、ご本人。ちなみに、山本海苔は、同じく海苔を扱う山本山とは別会社だ。

「区議会議員などの経験はありません。ですが、初代中央区長を務めたのは私の祖父の山本泰介だったので、区政と距離があったわけでもありません」

 山本氏は慶応大学卒業後、第一勧業銀行を経て、1974年に家業の山本海苔に入社した。社長になれないため政界へ転身するとの見方もあるが、間違いのようで、

「中央区は区長が区体育協会会長を兼務していました。それを矢田美英(よしひで)区長が4~5年前に切り離し、私が体育協会会長に就任した。その後、中央区オリンピック・パラリンピック区民協議会や中央区基本構想審議会などの仕事も任せられるようになりまして」

 矢田区長は78歳。現在8期目のベテランで、全国の市、区長では最長期を誇っている。が、1月17日に次期区長選への不出馬を明らかにし、かくて山本氏を“後継指名”した。

「中央区は築地再開発構想に直面しています。山本海苔は、日本橋に河岸があった頃から出店していた歴史がある。それで矢田区長は築地に縁があり、詳しい私を後継者にしたいと考えたのではないでしょうか」

 とはいえ、古希の初出馬に不安はないのか。

「まだまだ元気。44年間経営に携わって得た知見を区政に活かせると思うし、家業も後継者が育っている。区議会自公から協力を得られますが、区民の皆さんからも幅広い支持をお願いしたいと思います」

 七十にして心の欲する所に従えどもノリをこえず?

週刊新潮 2019年2月14日号掲載

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