大河「いだてん」が早くもピンチ “近現代”と“オリジナル脚本”はコケるのジンクス

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 1月6日にスタートした平成最後のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は初回こそ15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、昨年の『西郷どん』(主演:鈴木亮平)の初回視聴率15.4%をかろうじて上回ったが、第2話(13日)は12.0%まで急降下。

 これを受けてフリーアナウンサーの久米宏は、1月19日放送の「久米宏 ラジオなんですけど」(TBSラジオ)で以下のように語った。

「(昨年)暮れから大キャンペーンをずっと張っていて、その挙げ句が15.5%。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)にかなり負けている。(中略)さらに2話は『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)の制作費7万円くらいの番組にまで負けて……NHKはショックだろうね。(中略)下手すると、明日は1ケタになるんじゃないか?」

 同業者にここまで言われたら、NHKもさぞやショックだろう。

 それにしても、朝ドラ「あまちゃん」で実績のあるクドカンこと宮藤官九郎を脚本に抜擢して、なぜここまで視聴率は伸びないのか。

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 1963年、井伊直弼を描いた「花の生涯」(主演:尾上松緑[二代目])に始まり、今年で58作目となる大河ドラマが「いだてん」だ。これまでの人気作品を見てみよう。

 意外なことに「NHK紅白歌合戦」とは違って、古ければ古いほどみんなが見ていたわけではない。1960年代からは2本、70年代からはなく、80年代から6本がランクインしている。90年代に2本あり、2000年以降、ベスト10に入る作品はない。

 作品の時代背景を見ると、戦国時代を含む作品が5本、これに安土桃山時代も含めると10本中7本に、日本人の好きな織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が出演していることに。

 さらに、日本人が大好きな「赤穂浪士」と暴れん坊将軍の「徳川吉宗」は江戸中期の物語であり、9本が近世を描いたものになる。

 唯一の例外が「いのち」であり、時代は昭和で、主人公が架空の人物であるばかりか、歴史上の人物が全く登場しない唯一の大河作品である。

「後にNHK会長となる川口幹夫さんが放送総局長だった頃に、戦国時代と幕末ばかりになってしまった大河ドラマの路線転換を図ったんです。“近代大河”と名付け、山崎豊子さんの『二つの祖国』をもとに日系アメリカ人2世を主人公にした『山河燃ゆ』(1984年、主演:松本幸四郎、西田敏行)に始まり、翌年には日本人女優・第1号の川上貞奴を描いた『春の波濤』(主演:松坂慶子)を放送したのですが、どちらも不人気でした。そのため、大河『おんな太閤記』や朝ドラ『おしん』(1983~84年)で実績にある橋田壽賀子さんにテコ入れをお願いし、視聴率を回復させたのが86年の『いのち』です。実際、その翌年の『独眼竜政宗』以降3年連続でベスト10入りしているのは、視聴者の揺り戻しでしょう。NHKも相当懲りたと見えて、以来、大河で近現代を扱うことはなかったのですが、『いのち』から33年ぶりの近現代大河となったのが『いだてん』というわけです」(当時を知るテレビマン)

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