NHKが放置する中核子会社の「東京五輪事業」赤字付け替え疑惑

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SSS事業

 制作会社の社長が振り返る。

「GMSから、2020年の東京五輪に向けて何か良い企画はないかとの相談があり、私はネット版のスポーツ百科事典とでも言うべきものを提案しました。これが後に『Sports Social Studies(SSS)』と名付けられるわけですが、障害者スポーツも含め、ありとあらゆる競技に関するルールや技などを、その道の専門家に解説してもらうというウェブサイトです。この企画が採用され、14年の9月頃から正式にSSSプロジェクトは始動しました」

 ここで、青島氏が「NHKの仕事」との印象を受けたSSS事業を、制作会社に下請けに回したGMSについて触れておくと、〈日本放送協会の委託等により、ニュース、スポーツ、および情報にかかわる番組等の開発、企画、制作、購入、頒布〉(同社ホームページより)などを事業とするNHKの子会社で、現社長はNHK本体の政治部長や報道局テレビニュース部長、専務理事などを歴任した後(のち)、15年6月に現職に就任している。彼以外にも、

「取締役には『元NHK』とNHKからの出向者が居並んでいて、400人弱の社員も、その少なからぬ割合をNHKの出向者が占めている。NHKにとっての重要な『天下り先』であり、子会社の中でNHKからの出資額が3番目に多い中核子会社と言えます」(NHK職員)

 信用調査会社の関係者曰く、

「決算もNHK本体と連結ですから、NHKと一心同体の会社と言っていいでしょう」

 そのGMSによって動き出したSSS事業だったが、

「どうやらGMSの内部では不協和音が生じていたようです。具体的には、SSSは同社の企画事業部門が主導したものの、NHK本体との結び付きがとりわけ強いスポーツ部門がいい顔をしなかったらしく、次第にGMSの担当者から『SSS名目では経費が払いにくい』などと言われるようになり、別事業名目で経費を請求してほしい旨を指示された。実際、それに従って、別事業を『急ごしらえ』したりもしました。私どもは下請けですから、どんな形であれ、もらうものをもらわないと話になりません。従わざるを得ないわけです」(制作会社社長)

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