「母の慈愛の心を」に傷ついた?小池百合子都知事 謝罪の鳥取県知事は“大変驚きました”

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平井知事が語る

 都知事入魂の企画を持ち上げ、その懐に飛び込もうとした恰好だが、平井知事は生まれも育ちも東京で、開成中高→東大法→総務省(自治省=当時)のサラブレッド。鳥取県庁に出向したのが縁で2007年の知事選に出馬して当選し、現在3期目。父親も弁護士とあって、木仏金仏石仏かと思えばそれ程でもない。吉本新喜劇にゲスト出演したかと思えば、

「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバはある」

「ドンキ(ホーテ)がなくてものん気に暮らせる」

 などと、二十世紀梨はあっても21世紀からは取り残される鳥取の財政・社会面での窮状をオヤジなセンスで訴えてきたのである。

「最初は大変驚きました。私としては、小池知事に対して礼節を尽くした上での発言をしたつもりでした。しかし、最終的には主観の問題ですから、小池知事には膝を正してお詫びを申し上げたく思っています」

 とは、当の平井県知事。

「ただ、そもそも私はあの場で、小池都知事がイベントで身につけた衣装(※メーテル)を賞賛させて頂いた上で、小池都知事の“大都市と地方と共に考えて、栄え行く国を作ろう”という考えに全面的に賛同することをまずはお伝えしたわけです。その後に私が申し上げたのは、地方財源が減っているということ。消費税が5%から8%に上がったにも拘らず、地方財源は減っているんです。大都市部では大幅に増えているのに。小池都知事ら各知事に“交付税の算定なども含め、仕組みがおかしいんじゃないか。不整合があるのではないか”ということを申し上げたわけです。ですから、論旨としては、そんなにおかしなことを言ったつもりはないんです」

 それで最後に前述の「母の慈愛」が出てくるのだ。

「『母の慈愛』という言葉は、広い心で大局的見地で話を進めていくべきではないかという文脈で申し上げたのです。正直、鳥取県民56万人というのは、都民1300万人に比べれば小さい県かもしれません。しかし、税収に関しては、56万人の命と生活が関わっているわけですから、世の中の人にはぜひ理解して頂きたいと思っています。この税収の話が、小池都知事の記者会見一つで違った方向に持っていかれるのであれば、それは不本意ですし、残念でなりません」

週刊新潮 2018年11月29日号掲載

特集「『私は母になれなかった』 鳥取県知事を謝らせた『小池百合子』都知事の『言葉狩り』」より

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