株価暴落「ライザップ」社長が慚愧を語る(上) 新規M&A凍結は「『未来』を選んだ」

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時代の寵児から滑り落ちたライザップ「瀬戸社長」慚愧を語る(上)

 本体のみならず、傘下企業の株価も軒並み暴落。会社が危機を迎える最中、取材に応じたライザップグループの瀬戸健(たけし)社長(40)が語ったのは、株主を裏切る結果になったことへの慚愧の言葉だった。岐路に立つ「時代の寵児」が、決断の背景を全て明かした――。

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 今回の件に関しては、この結果を招いてしまった私に100%の責任があります。株主の皆様をはじめとする多くの関係者の方々を裏切る形になってしまい、本当に心から申し訳なく思っています。

〈RIZAP(ライザップ)グループを率いる瀬戸健社長。その口からまず飛び出したのは、株主などに対する謝罪の言葉であった。

 札幌証券取引所の新興企業向け市場「アンビシャス」に上場しているライザップグループ株は目下、異常事態に見舞われている。11月15日、売り注文が殺到した同社株は値幅制限の下限(ストップ安)となる前日終値比80円安の345円で取引終了。さらに翌16日も“投げ売り”が止まらずストップ安となり、265円まで下落した。

 きっかけは14日の決算説明会。6月にカルビー会長からライザップに転じ、現在は構造改革担当の代表取締役を務める松本晃氏(71)と共に会見に臨んだ瀬戸社長が発表した内容は、衝撃的なものだった。2019年3月期通期の業績予想を修正し、純損益が従来予想の159億円の黒字から70億円の赤字に、営業損益が230億円の黒字から33億円の赤字に転落する、との見通しを明らかにしたのだ。

 12年に個人向けジム事業を始めたライザップはここ数年、積極的なM&Aによって事業規模を急拡大させてきた。11月時点での連結子会社は実に85社、グループ従業員数は約7千人にもなる。しかし、今回の会見では、今後、新規のM&Aを凍結することも発表。猛スピードで走り続けてきた列車が急ブレーキをかけたのだから、“乗客”たる株主が悲鳴を上げるのは無理もなかった。〉

 私がライザップグループの前身である「健康コーポレーション」を立ち上げたのは2003年、24歳の時です。主力商品の「豆乳クッキーダイエット」のおかげで順調に業績は伸びていたのですが、他のダイエット法が流行り出すと、年間100億円あった売り上げが約10億円まで激減。会社が経営危機に陥る、という経験をしました。今から10年ほど前のことです。

 その際は少し前に買収していた美顔器の会社の商品のヒットにより危機を脱しましたが、この時に得た教訓が二つあります。一つは、「クッキー」だけの売り上げに依存するような“一本足打法”は危ない、ということ。もう一つは、会社の純資産は増やしていかなければならない、ということです。ただ、2年前に二十数社だったグループ企業が今年は80社を超え、結果として、我々がコントロールできる数を超過してしまった。投資事業だけが先走り、手を広げ過ぎてしまった、ということです。

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