「イッテQ」を脅かすテレ朝「ポツンと一軒家」 真逆の手法で大人の視聴者を獲得

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川口浩探検隊とファミリーヒストリー

 テレビ雑誌記者がその魅力を語る。

「衛星写真で道すら見当たらないような場所に建つ家に、たどり着くまでの過程も面白い。獣道を歩いたり、木製の橋をメリメリと音を立てながら車で渡ったり、こんなところがまだ日本にもあったのかと思うのと同時に、作りが懐かしい。ナレーションは『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のナレーターでもあるキートン山田さん(73)ですが、“まるちゃん”のようなホンワカした声ではなく、緊迫感を出しており、BGMもなんだか大仰なオーケストラで、かつてテレ朝で人気を誇った『水曜スペシャル』の“川口浩探検隊”が秘境に突き進んでいくようなんです。そして無事、一軒家にたどり着くと、一転してBGMも大人しく落ち着いた作りになる。そして、なぜそんな不便なところに敢えて住んでいるのか、その人の人生や、先祖からの歴史にまで踏み込むことまであります。そこが結構、感動モノだったりするのですが、その時のナレーションは『Dr.スランプ アラレちゃん』(フジテレビ系)の則巻アラレの声だった小山茉美さん(63)が担当。もちろん“キーン!”なんて声は出さずに、まるでNHKの女性アナウンサーみたいな声なんです。だから、NHKの『新日本紀行』とか『明るい農村』、『ファミリーヒストリー』を見ているような気にもなる。『イッテQ』のように、ずーっとお祭り騒ぎのような騒がしさでないところが、大人の視聴者にはウケるのだと思います」

 事実、「ポツン」はレギュラー化して以来、回を重ねるごとに数字を上げてきているというのだ。前出プロデューサーが言う。

「初回(10月7日)の2時間半スペシャルは14.0%と出来すぎで、あまり参考にはならないかもしれません。2回目(10月14日)は11.8%、3回目(10月21日)は12.8%、4回目(10月28日)は13.7%、5回目(11月4日)は14.4%、そして6回目が15.4%と、毎週ほぼ1%ずつ上乗せしていっているイメージなんです。日テレにとっては恐ろしい存在に違いない」

“ヤラセ祭り”だけのせいで「イッテQ」が喰われているわけではないようだ。両番組とも、ただ笑わせるだけでなく、“ドキュメントバラエティ”という事実をもとにしたバラエティという手法になっている。だが、作り手の考え方に大きな違いがあるという。

「『イッテQ』の総合演出は、こう話したことがあるそうです。“今までのドキュメントバラエティは、海外ロケしたら目的地に行くまでの過程を番組にしてきました。でもこの番組は違います。目的地に着くまでなんて、テレビの前の視聴者には一切関係ないから、さっさと着いちゃって、そこからロケを始めたいと思います”と。一方、『ポツン』の番組プロデューサーは、本当に一軒家が見つかるのか、住民はいるのか、といったスリルを大事にしているそうで、“事前の現地調査を一切行わないのが番組のポリシー”とまで語っています。そのため、現地での聞き込みに何日もかかることもあり、人里離れた場所でのロケが困難を極めるそうです。つまり、同じドキュメントバラエティという形を取りながら、両者の見せ方は真逆と言っていいほど違うのです」(同・民放プロデューサー)

 果たして、18日には16.5%と変わらぬ強さを見せた「イッテQ」に対し、「ポツン」の視聴率がどうだったかというと、この日は「路線バスで寄り道の旅×じゅん散歩スペシャル」(18:30~20:54)のため放送はなし。両者の直接対決は11月25日に持ち越された。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月25日掲載

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