ナイナイ岡村がNHK「チコちゃん」で復活 なぜフジに救われたと言われる?

エンタメ

  • ブックマーク

土曜朝の再放送が人気!

 NHKの紅白歌合戦に出場を決め、流行語大賞にもノミネート。まさに「時の人」だが、正確には実在する“生物”ですらない。NHK「チコちゃんに叱られる!」(金曜・午後7時57分~午後8時42分)のメインキャラクター、チコちゃん(5)のことだ。

 ***

 ライバルの民放キー局に勤める番組制作スタッフは「テレビ業界では最も注目されている番組と断言していいでしょう」と明かす。

「視聴者にとって“素朴な疑問”をクイズ形式で回答するという、内容的には極めてよくあるタイプの番組です。ところが人気番組に化けた理由の1つに、CG技術の発達があります。チコちゃんの決め台詞『ボーっと生きてんじゃねえよ!』を筆頭に、非常に多彩な表情が見どころです。昔の着ぐるみでは不可能でした」

 芸人の木村祐一(55)がチコちゃんの声を担当していることも大きい。少し毒を持ち、社会を斜に構えて見るスタンスが、視聴者の笑いを誘う。さらに森田美由紀アナ(59)の「今こそ全ての日本国民に問います」といった印象的なナレーションも面白い。

 とはいえ、放送開始から現在のような人気を獲得したわけではない。そもそも番組に火が付いたのは、毎週金曜にオンエアされている本放送ではなかった。土曜の再放送(午前8時15分~午前9時)が高視聴率を達成したという変わった番組なのだ。

 ビデオリサーチが発表した「週間高世帯視聴率番組 VOL.45 2018年11月5日(月)~11月11日(日)」によると、「その他の娯楽番組【関東地区】」のベスト5は、表のような結果だった。

 5番組のうち「午後」は4番組。「日曜」は3番組を占める。日曜の夜にバラエティ番組を視聴するのは、極めてありふれた光景だろう。そんな中、「土曜の朝8時15分からオンエアされるバラエティ番組の再放送」が2位なのだ。極めて珍しいことが一目瞭然だ。

「『チコちゃんに叱られる!』の本放送は、だいたい10%くらいの視聴率です。ところが再放送は表の通り16.5%という数字を叩き出しました。再放送のほうが人気を呼んでいる理由は、朝ドラの放送直後だからです。ここ数年、NHKの『連続テレビ小説』は20%を超える視聴率を連発しています」(同・番組制作スタッフ)

 今年4月から放送された「半分、青い。」も、10月からの「まんぷく」も毎日のように高視聴率を達成している。土曜は会社や学校が休みの人が多い。起床すると午前8時から放送される話題の朝ドラを視聴する。そして、付けっぱなしのテレビは、8時15分になると「チコちゃん」を映し出す――。

「最初は積極的に視聴していたわけではないでしょう。ぼんやりと眺めているうちに、番組のパワーに気づき、クセになっていったわけです。一度面白いと思えば、視聴が習慣化されます。こういう好循環を背景に、『チコちゃん』は本放送より再放送が好調になったと考えられます」(同・番組制作スタッフ)

岡村隆史は誰に感謝を捧げるのか?

 NHKらしくない番組という感想を持つ人も多いだろうが、それは“正解”だ。デイリー新潮は「『チコちゃんに叱られる!』の意外な真実 NHKの人気番組は民間の制作会社が作る時代」(18年7月31日)の記事を掲載している。記事中にある、関係者コメントを再録させていただこう。

《『チコちゃん』はNHKではなく、共同テレビジョンの制作なんです。共テレといえばフジ・メディア・ホールディングス傘下で、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の“小港”こと港浩一プロデューサー(66)が今の社長。プロデューサーの小松純也(51)は『ダウンタウンのごっつええ感じ』(同前)などを作ってきたバラエティ畑の人です》

 この小松純也氏が、「チコちゃんに叱られる!」のプロデューサーだ。小松氏は1967年、兵庫県西宮市に出生し、京都大学文学部に進学。高校時代から放送作家として活躍したとされ、卒業してフジテレビに入社した。

 例えば、ディレクターやプロデューサーとして関わった番組は、「森田一義アワー 笑っていいとも!」(1982~2014年)や、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(1991~1997年)、「SMAP × SMAP」(1996~2016年)――などなど、フジテレビの黄金期を代表するものばかりだ。

 時代を思いっきり飛ばし、現在放送されている番組を見てみると、「人生最高レストラン」(TBS系列:土曜・午後11時30分~午前0時)でチーフプロデューサーを務めている。

「フジテレビは数年前、制作スタッフの世代交代に失敗します。出世争いもあって現場の第一線で働いていた社員が、どんどん別の部署に飛ばされたんです。小松さんが共同テレビジョンに出向したのも、そうした文脈に位置づけられます。ただ、テレビ界全体にとっては、むしろ低迷中のフジテレビから解き放たれて、よかったのではないでしょうか」(同・番組制作スタッフ)

 他にも藪木健太郎氏(47)もフジテレビで「爆笑レッドカーペット」(2007~2014年)などをヒットさせたのだが、同じように共同テレビへ出向となった。そして9月27日に演出とプロデューサーを担当した「~両親ラブストーリー~ オヤコイ」(読売テレビ・日本テレビ系列)が放送された。

 人事のミスは、敵を利することがある――。ビジネスパーソンにとっては怖い話だが、こうしてNHKで辣腕を振るうようになった小松氏のカラーは、「チコちゃんに叱られる!」でも明確だという。

「バラエティが好きな方なら『チコちゃん』が『一人ごっつ』に似ていることに気づかれたのではないでしょうか。『一人ごっつ』は1996年から97年にかけてフジテレビで制作されたバラエティで、もちろん小松さんも制作に関わっています」(同・番組制作スタッフ)

 松本人志(55)の相手役は着ぐるみではなかったが、背後に鎮座していた「大仏さま」だった。おまけに声を放送作家が担当するところなど、確かに今の「チコちゃん」を彷彿とさせる内容だった。

「司会を務めるナインティナインの岡村隆史さん(48)は、1996年から続いていた『めちゃ×2イケてるッ!』が今年3月に打ち切りとなりました。フジテレビを恨む気持ちは持っておられると思います。それにリベンジを果たしたような格好になった『チコちゃん』の好調ですが、岡村さんはNHKに助けてもらったとは考えていないでしょう。やはりフジテレビで共に番組を作ってきたスタッフに恩義を感じ、感謝していると思います。人の縁というのは本当に不思議です」(同・番組制作スタッフ)

 やはり最後の最後で頼りになるのは、共に現場で汗を流した“戦友”ということなのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月24日掲載