織田裕二「SUITS」視聴率が急降下、絶好調の米倉「リーガルV」と何が違うのか

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織田も中島も“汗をかかない”

 この差はいったいどこから出たのか。民放プロデューサーが分析する。まずは「SUITS」から。

「『SUITS』の第1話は、オリジナルをかなり意識した作りで、ストーリーもほぼそのまま。だから結構面白くて、期待できると思いました。フジも喜んでいるだろうな、と。しかし、2話に進んで、オリジナル感を出したとたんに、メッキが剥げた。とにかく、安っぽいんですよ、日本版は。オフィスのセットから、役者、そして肝心の事件までセクハラ、パワハラと一気にチープになった。本家は世界中でヒットし、すでにシーズン7まで放送された大人気番組です。大企業を乗っ取っとるとか、切った張ったの世界で、ガブリエル・マクト(46)演じる凄腕弁護士(日本版では織田)とパトリック・J・アダムス(37)の天才青年(同じく中島)が、2人ともやり手であることが面白い。時には敵対したり、喧嘩もしながら、それぞれの事件を扱う中で、両者の事件がうねるように絡んでいくという重奏感が出てくる。しかし日本版は、まったく似て非なるもので、東大からハーバード大へ進んで企業裁判の第一人者という“織田”弁護士から、その凄腕をまだ見せてもらえていない。天才青年の“中島”ニセ弁護士も、六法全書を覚えていたくらいで、その後は天才ぶりを感じさせてもらえない。あくまで織田に従う新米で、2人にはバディ感もありませんね」

 そして「リーガルV」はといえば、

「番組スタートまでは“XがVに変わっただけ”とか言われていた『リーガルV』ですが、むしろそれは、『ドクターX』のお得意様をキープしようとしたテレ朝の戦略が当たったのだと思います。こちらは弁護士資格を剥奪された元弁護士だから、自分では活動ができないため弁護士事務所を立ち上げるわけです。そこで弁護士たちは、米倉女王にアゴで使われるわけですが、あの高橋英樹ですら動き回り、走り回って、汗をかいて、事件解決へと奮闘する。そこで視聴者にはカタルシスがうまれるんです。女王様は、ここぞという時の見せ場に登場し、基本はチームプレイに重きが置かれている。うまくできています。逆に『SUITS』には、それがない。織田はもちろん新米の中島も、数秒間、資料を見るだけで、汗をかかないんです。これではストーリーに、感情移入のしようがない」

 それにしても、ここまで数字が下がるとは……。

「視聴者を侮ってはいけませんよね。ストーリーに入り込めなくなると、織田のオーバーな身振り手振りは、なぜ外人みたいなのかとか、下手な翻訳劇を観せられているかのようなセリフも、観ているこっちが恥ずかしくなってくる。“この窓からたたき落とされたくなかったら、彼女を説得してこい!”なんて言う日本人、今どきいませんよ。このままだと数字はもっと下がるかもしれません」

 逆にギャグとして楽しむ人も出てきそう……「SUITS」第5話は11月5日放送である。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月5日掲載

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