ラスベガス防衛失敗 「村田諒太」より株を下げた人

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 俗に「名選手、名監督にあらず」と言うが――。

 WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)の2度目の防衛戦が米ラスベガスで行われ、挑戦者ブラントに0-3で判定負けした。

 断わっておくが、ここまで来た村田は立派だ。日本人2人目の中量級世界王者となり、日本人初の防衛を果たし、ボクシングの聖地でメインを張った。十分に“日本ボクシング史に名を刻んだ”と言えよう。だが、

「現地で解説をした元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(36)が酷かった」

 とボクシングライターが眉をひそめる。

 村田戦の中継はこれまでフジテレビが手掛けていたが、この一戦はネット配信DAZN(ダゾーン)が独占中継した。

「試合は挑戦者ペースで、右だけを狙った村田のゲームプランは完全に読まれていた。村田が取れたのはせいぜい第5Rくらいです」

 ところが、

「高校とジムの先輩である山中は終始、“(村田は)いいリズムです”“パワーは圧倒的です”などと視聴者をミスリードし続けました。“奈良判定”もかくやという露骨な贔屓ぶりでした」

 ちなみに、村田は奈良出身である。

 村田の判定負けといえば、去年の王座決定戦での不可解判定を思い出すが、今回は採点が割れることなく大差がついた。他ならぬ村田自身が「完敗」と認めている。ボクシングを知る者には村田の負けは明白だった。

 試合後、山中は“細かい手数を取られた”などと弁明したが、

「亀田兄弟をスターに仕立て上げたTBSを彷彿させました。あれはあれで“ショー”だと思えば害はないですが、DAZNは有料ですからね。お金を払って観ているコアなファンをバカにしているし、ミーハーなファンは山中の偏向解説を聞いて“村田もハリボテだった”と誤解する。罪作りな話ですよ」

 現役時代は米国でも一目置かれた山中は、村田と同様、日本ボクシング史上に残る名ボクサーだが……。

 名選手、名解説者にあらず――なのである。

週刊新潮 2018年11月1日号掲載

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