公演ドタキャン「沢田研二」とポール、ストーンズとの違い

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 沢田研二の70歳を記念したライブが、公演当日になって中止になった件が波紋を呼んでいる。病気やケガ、あるいは天災などが原因の中止は珍しくないが、今回のように「契約上の問題」が理由として挙げられるのはあまり例がない。本人の説明によれば「さいたまスーパーアリーナ」という大会場だったために、チケットの売れ行きが芳しくなく、空席が目立つのを嫌ったというのが真相のようだ。

 いかに往年の大スターとはいえ、そもそも「さいたまスーパーアリーナ」のような大会場という設定に無理があったのでは――と思う方もいるかもしれない。しかし、実は沢田研二は10年前には東京ドーム、大阪ドームでの「還暦記念」ライブを成功させている。この時は、全80曲、6時間以上にわたって歌い続け、圧倒的な歌唱力を見せつけていた。

 が、こんなファンの声もある。

「もともと沢田さんのライブでは、代表曲、ヒット曲をあまりやらないという話を聞いていたので敬遠していたんですが、還暦記念ライブならばそうはならないだろう、と思って東京ドームには足を運びました。実際、さすがに80曲もやったので、かなりヒット曲を歌ってはくれたんですが、それでも結構漏れがあった。個人的には『恋のバッド・チューニング』あたりも聴きたかったんですが……。

 新曲を喜ぶファンの方もいるんでしょうが、そこまでのマニアではないファンとしては、代表曲を続けざまにやってくれるようなライブを見たい、と思うんじゃないでしょうか。ドームでは憲法9条の大切さをうたった『我が窮状』みたいなメッセージソングまで披露されていて、本人のやりたいことはわかりますが、正直引いてしまいました。求めているのはこれじゃない、と」

 沢田は一般的な意味での「ファンサービス」にはあまり関心がないのか、これまでにもファンに対して「嫌なら帰れ」と暴言を吐いたことなどが話題になってきた。ある意味で「ロック的」と言えなくもないのだが……。

「たしかに昔のロックバンドでは、あえてヒット曲を外してライブをやる、ほとんど新曲でやる、というようなやり方もありました。でも今は大物になればなるほどベストヒット的なライブになっています。ローリング・ストーンズでもポール・マッカートニーでもライブではきちんとファンが聴きたい曲を並べたセットリスト。そこに数曲、新曲やレアな曲を混ぜるというのが普通でしょう。以前、ポールは代表曲『イエスタデイ』をセットリストから外さない理由について『だってローリング・ストーンズ見に行って、“サティスファクション”が聴けなかったらカネ返せと思うだろ』と言っていました」(音楽ライター)

 先に紹介したファンは、さいたま公演には行く気がしなかったそうだ。来年1月には日本武道館での3日連続公演が予定されているという。今どき珍しい予測不可能性があるあたりもまたジュリーの魅力、というファンが集うということか。

デイリー新潮編集部

2018年10月19日掲載

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