韓国地裁が「マジンガーZ」のパクリを否定した「テコンV」妥当な判決か?

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放映中止になった作品も

 韓国のアニメには、「テコンV」とは比べものにならないほど、著作権を侵害している作品も少なくないという。

「アニメが好きな方なら、1979年の『宇宙黒騎士』が『機動戦士ガンダム』などを、83年の『スペースガンダムV』が『超時空要塞マクロス』に登場する“バルキリー”というメカなどを模倣したことをご存知かもしれません。パクリと言われても仕方がないのです。81年の『宇宙隊長片目』は『宇宙海賊キャプテンハーロック』のストーリーや設定だけでなく、多くのシーンがレイアウトまで同一で流用されています。さらに84年の『ビデオレンジャー007』は『ビデオ戦士レザリオン』のフィルムを無断で再編集したものを映画として公開してしまいました。その後、監督などは捜査のため拘束される事態に発展したそうです」

 一方の「テコンV」はデジタルリマスター版が製作され、日本では2010年に劇場公開。翌11年にDVDが発売されている。

「東映側が問題視していた可能性も否定できませんが、抗議や法的なアクションは行われませんでした。推測になりますが、やはり悪質の度合いが酷く、勝訴の可能性も高ければ、裁判が開かれたはずです。『テコンV』が少なくとも“黙認”されたのは、それなりにオリジナリティが認められたからではないでしょうか」

 かに三匹氏は「できれば『テコンV』を見てから、判決について考えてくださると嬉しいですね」と訴える。

「率直に言って、『テコンV』は『マジンガーZ』のパクリ、という知識を持っているだけというファンも少なくありません。第1作は日本でもDVDが発売されましたし、他にも様々な方法で視聴が可能です。未見の皆さんがイメージされているより遥かに面白く、質の高い作品です。見ても決して損はしないと声を大にして申し上げたいですね」

 黒沢明監督(1910〜1998)の「用心棒」(61年/東宝)を、イタリアのセルジオ・レオーネ監督(1929〜1989)が「荒野の用心棒」(64年)としてパクったことはあまりに有名だ。実際に東宝は訴訟を起こして勝訴している。

 だとしても「用心棒」だけでなく「荒野の用心棒」も、映画史に残る傑作として評価が高い。「マジンガーZ」と「テコンV」もそういう関係なのかもしれない。だが、かに三匹氏によると「特に質が高いのは初期3作品。それ以降は駄作も少なくなく、パクリの度合いも高くなっている」という。

週刊新潮WEB取材班

2018年8月12日掲載

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