資金集めの駒にされる「藤井聡太」七段 “名古屋将棋会館”新設構想

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高校中退も

 もっとも、将棋連盟のほうは名古屋会館に消極的なようだ。将棋ライターの松本博文氏が言う。

「東京大阪の会館は、完成から約40年経ち、以前から老朽化が指摘されている。建て替えが議論されるものの、資金面などがネックで進まないのです」

 仮に賃貸物件でも、資金不足で維持管理に窮する。とても会館の新設など現実的ではないのだ。実際、

「連盟から具体的な建設の意向や要望があれば取り組んでいきたいのですが、連盟の方からは、“急ぐ必要はない”と言われました」(名古屋市観光文化交流局)

 と言うから、先走りする計画は頓挫の公算が大。藤井七段も資金集めに奔走する必要はなさそうだが、実は、名古屋に会館が出来れば、彼自身にとってもプラスの面があるという。

「昨年、対局のために学校を休んだのは40日ほど。今年はそれを超える可能性が高く、タイトル戦によってはさらに拘束日数が増える。つまり、勝てば勝つほど学校に行けなくなり、高校中退も有り得ます」(松本氏)

 その点、地元に会館があれば、いままでほど遠征をする必要がなくなる。が、師匠の杉本昌隆七段は、

「資金集めは、藤井七段ではなく、上の立場の棋士がするべきです。彼が動けば宣伝効果は高いかもしれませんが、以前、勝ちまくることが最大の将棋の普及だと伝えました。愛知から出て行かないために建てるというのも彼の自由を奪うことになる気がします。違う場所での勉強で得るものもありますからね」

 さしもの藤井七段の頭の中にも寄付集めの棋譜はないはず。「要の金を狙え」は将棋の格言だが、大人の事情で“金”集めの重荷まで背負わされてはたまるまい。

週刊新潮 2018年7月5日号掲載

ワイド特集「梅雨の晴れ間」より

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