東京は「座れる通勤電車」ブーム 大阪は「20年間検討中」のなぜ?

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京阪電鉄の挑戦状

 特にプレミアムカーは大阪と京都を結ぶため、観光客をメインにするイメージを持ってしまうが、そういうわけでもなさそうだ。京阪電鉄の公式サイトに開設されたプレミアムカーのコーナーでは、井上欣也・営業推進部取締役が、以下のように狙いを語っている。

「老齢人口の増加とともに席に確実に着座したいというニーズが高まってきています。有料でもゆったりとした空間でちょっと贅沢に移動したいというニーズもあります。プレミアムカーにおいては、このようなご要望にお応えできればと考えています」

 運賃にプラスする料金は、京阪のプレミアムカーは最大500円で、ライナーは300円。一方で首都圏の京王ライナーは400円、モーニング・ウィング号は300円、S-TRAINは平日の所沢——豊洲間は510円となっている。京阪の価格設定は首都圏と遜色ない。まさに関西のケチ精神に挑戦状を叩きつけたと言えるだろう。

 実は南海電気鉄道と泉北高速鉄道は15年から泉北ライナーを運行させているなど、関西圏にも「追加料金を必要とする通勤、通学列車」がないわけではない。だが、京阪の挑戦は特別にインパクトが大きかったらしく、これを契機に「他の関西私鉄やJR西日本も追随する」との報道も行われた。

 果たして関西人のケチ精神に変化が生じるだろうか。鉄道関係者に限らず、様々な業界が関心を持っているかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年6月5日掲載

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