首相を守った柳瀬審議官 結婚時に作成された夫人との“ラブ・ストーリー”文書

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 自身にかかった疑惑の累が首相に及ばぬよう、参考人招致の場で巧妙な答弁を続けた柳瀬唯夫・経産審議官(56)。今でこそ無表情なザ・役人風だが、瑞々しい愛に身を捧げた時期もあった。

 その物語を記した文書をここに掲げる。1991年、柳瀬氏が結婚式を挙げる直前に、同僚らが新婦・A子さんとのなれそめを冷やかし半分に綴ったもので、題して「エネ庁ラブ・ストーリー」。交際時、氏は資源エネルギー庁の幹部で、A子さんは3年後輩だった。

 A子さんに「笑うと山瀬まみみたいだ」と好意を抱いた柳瀬氏。欧州出張時に「気をつけて行って来て下さいね」と電話されたのを「お土産を買ってこいとのサインだ」と“忖度”。パリで買ったディオールの口紅がA子さんの愛用品で、心をつかむことに成功する。

 2人はデートを重ね、柳瀬氏はオオカミのぬいぐるみも彼女にプレゼントしたが、ある日、母校・東大の三四郎池で変身したオオカミぶりが顔を出す。ベンチで夜風に吹かれながらキスに及び、胸中によぎった思いは、

「なにはともあれ、やれやれ」

 プロポーズは91年1月2日。年明け最初のデートとおめかししてきたA子さんを、車で連れて行った先はファミレスのすかいらーくだった。あじのたたき定食をさっさと平らげた柳瀬氏は、えびドリアをまだ食べているA子さんに勝手にしゃべり始め、米国留学が決まった自分についてきてくれないかと切り出した由――。

 この手の文書が省内で配布されるのがならわしだったそうで、多分に脚色も含まれるというが、

「彼にはどこか軽いところがあったのは事実で、基本は芯がなくて上からの言いなり。かかってきた電話の相手がエラい人だとわかるや、いきなりビシッとして“ハイ、柳瀬でございますッ”なんて答えるような調子でした」(元同僚)

 主人のために身を呈すが、その実は自己保身。清々しい恋物語も遠い昔、今や空々しい弁ばかり弄する計算ずくの大人になった。

週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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