新卒初任給34万円! 東証1部「北の達人」の狙い

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 聞きづらくても、気になってしまうのが他人の懐事情というもの。

 3月30日、ネット通販の「北の達人コーポレーション」が大卒社員の初任給を25万円から34万円に引き上げ、注目を集めたのだ。

 社名の通り、本拠地は北海道の札幌市。

「創業者の木下勝寿社長は関西出身で、関西大学を卒業後、リクルートに就職しますが、5年ほどで独立。その後、2000年に前身となる通販サイトを設立するのです。今では北海道の甜菜を使用した『カイテキオリゴ』など健康食品や化粧品が有名ですね」(経済誌記者)

 もっとも、新卒社員に大盤振舞いできるようになるまでの道のりは平坦ではなかったようで、

「独立後、一時は日用品を販売する会社を経営していたこともあったのですが、数年で廃業。アルバイトをしながら食いつないだこともあったといいます」(同)

 苦労は晴れて実を結び、「北の達人」は14年に東証2部に上場。Jリーグ「コンサドーレ札幌」のスポンサーにも就任し、翌15年には東証1部上場を果たす。

 とはいえ、昨年度の上場企業の平均初任給が21万868円だから、やっぱり34万円は高額である。再びアルバイト生活に戻らなければ良いが、なんて無用の心配までしてしまうのだが、

「社員数は100名ほどで、売上高はこの5年間で4倍近くに増えており、今期は50億円を突破する見込み。成長銘柄で、投資先としても人気です」(同)

 つまり、シューカツに勤しむ学生諸君だけでなく、投資家にとっても狙い目の会社ということだが、当の人事担当者に真意を問うてみれば、

「この初任給が高額だとは考えていません。今後、さらに会社を成長させるためには優秀な人材が必要。そのために外資系コンサルタントや大手IT企業と水準を合わせようと考えたのです。採用は4〜5名で倍率も高く、成長意欲の高い学生に入社して欲しいですね」

 報酬に見合うだけの働きが求められているのだ。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

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