白鵬にあった刑事訴追のシナリオ 元後援者が吐露した失望と苛立ち

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文化破壊の「ダメ押し」

 日馬富士だけではなく、白鵬にも迫っていた「捜査のメス」。最終的に「スワット判例」を援用する決断ができなかったのか、結局、この「極秘シナリオ」は日の目を見なかったが、

「今回の暴行騒動で、もし白鵬が日馬富士に身振りや手振りで『お前がやれ』といった何らかの合図を送っていたとすれば、傷害行為に対しての明確な指示がなかったとしても、事前ではなくその場での共謀が図られたと見なされ、『現場共謀』が成り立ちます」

 と、先の園田教授が補足する。また、合図がなかった場合でも、

「傷害行為が行われた現場で、それを助けた者は『傷害現場助勢罪』に問われる可能性があります。例えば、野次馬が喧嘩を煽(あお)るような行動を取ったケースがこれに相当する。白鵬ら同席者が、『もっとやれ』などといった発言をしていれば、それは刑事罪に該当する恐れがあるのです」(同)

 以上の話を総合すると、暴行騒動に「他人事」の体(てい)を装っている白鵬だが、日馬富士と彼の差は果たしてどれほどだったのかと、改めて思いを巡らさざるを得ないのである。いずれにせよ、「万歳演出」に「モンゴリアン・チーム」ジャージと、彼の行動に「日本の魂」を見出すことは至難の業だ。

 白鵬を16歳の頃から知る、後援会元幹部で湘南信用金庫元会長の服部眞司氏が失望と苛立ちを吐露する。

「彼から『ありがとう』という言葉を一度も聞いたことがない。とりわけ、一人横綱になってから横柄な態度が目に付くようになり、私は呆れて後援会から離れました。今回も、日馬富士が殴っているのをただ見ていただけなのだとしたら、白鵬だって『共犯』ですよ。綱の責任、連帯責任を考えれば、彼にも反省することはたくさんあるはずです」

 こんな「増長白鵬」が、本誌(「週刊新潮」)12月21日号で報じたように、将来的には親方、そして日本相撲協会の理事長の座に野望を燃やしているのだ。

 スポーツ評論家の玉木正之氏が断じる。

「相撲はスポーツではなく武道の一種。武道では、年を重ねるほどその真髄を極めるとされ、年長者を敬うことが前提となりますが、白鵬にはまったくそれが感じられません。彼が指導者である親方の資質を有しているとはとても言えない。そんな白鵬が親方になれば、モンゴル勢による大相撲の乗っ取り、すなわち日本文化の破壊の『ダメ押し』となってしまうでしょう」

 疾しさゆえの強がり。「日本の魂」が欠けていると最も自覚すべきは、他ならぬ白鵬自身である。

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

特集「『貴乃花』『白鵬』最後の死闘」より

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