「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】

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フィンレイソン氏に取材すると…

 ともあれ、本誌もフィンレイソン氏に接触した。TBSの取材データや山口記事の内容を彼にぶつけ、検証を進める。作成した比較表も参照のこと。

 山口記事には、〈サイゴンをはじめ南ベトナム各地を転戦。(中略)韓国軍の実情に詳しかった〉と経歴が披露されているが、

「そんなことは一度も言っていません。私はサイゴンでは戦闘に参加しておらず、現地をよく知っているわけではない。韓国軍海兵隊と過ごしたのも僅か2時間だったと思います」

 TBSの取材において「韓国軍の慰安所」について尋ねられた際に、〈これはサイゴンですね、はい、存じています。この場所について聞いたことがあります〉と答えている。しかし、山口記事だと〈「(中略)確かにサイゴンにありました。よく知っています」〉となってしまっている。今回その点を質すと、

「そんな風には言っていない。彼が私に見せたのは、『韓国軍の福利センター』に関する文書でした。それをなぜ私が覚えているのか。かつて南ベトナム軍事援助司令部から私は、『米国人は立ち入り禁止』の場所についての回覧状を受領したことがあり、そこに同じ名前の施設があったからです。とはいえ、その場所をよく知っていたわけではありません。そこは売春施設だったと思いますが、私は取材時に慰安所(Comfort Station)という言葉を使っていない。そういう用語が出ていたならば、発言に気を付けていたでしょう」

 加えて山口記事ではフィンレイソン氏のコメントとして、

〈「米軍司令官が指摘している韓国の慰安所とは、韓国軍の兵士に奉仕するための大きな性的施設です。韓国兵士にセックスを提供するための施設です。それ以外の何ものでもありません」〉

 と、慰安婦が存在したことを“断言”させているが、

「TBSの取材時に“もともと韓国兵専用として提供されていた”と話しましたが、これが困った点なのです。そう聞いたことはあっても自分では知らないわけですから。誰がオーナーだったかもわかりません」 

 要するに、大部分は伝聞に基づいた推測なのだ。だから、ディテールに踏み込むことなどできないのに、山口記事には、〈これらの施設は、内部が多くのブロックに分かれていて〉とか〈「(中略)当時南ベトナムでは性病が深刻な問題になっていて、特に梅毒が蔓延していました」〉などと、元大佐の証言が出てくるのだ。

「ブロックに分かれている? 馬鹿げている。そんなことは言っていない。梅毒とは決して口にしていません。そもそも流行していたのは淋病なのです」

 フィンレイソン氏はそんな風に証言する。更に山口氏は、フィンレイソン氏が一般論でしている話を無理に韓国軍の行状と結びつけ、すり替えている。

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