拠り所なき「産後うつ」の闇に踏み込む 「コウノドリ」第3話

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 セカンドシーズンの「コウノドリ」は、「出産はスタートライン」であることを強調し、より深く、親と子のこれからの人生を見守るようなストーリーになっている。その理由が徐々に明らかになりつつある第3話だった。

 今回のゲストは肺動脈狭窄症の手術を経験している山崎麗子(川栄李奈)と友和(喜屋武豊)夫妻。サクラ(綾野剛)は、心臓病を抱える麗子に、心臓への負担を考え無痛分娩を提案する。しかし、古くからの妊娠にまつわる迷信をあれこれ信じてしまう麗子は、友人に「(心臓への負担を抑えるための)無痛分娩では赤ちゃんへの愛情が持てない」と言われたことを真に受けて、自然分娩したいと言い出す。

 「無痛分娩」は医療事故が多そうだし、陣痛を経験しないまま出産してちゃんと母親になれるのだろうか……というイメージを持っている女性は多いのではないかと思う。無痛分娩での死亡事故の原因の大半は、陣痛を抑える時の麻酔で起こる。硬膜外麻酔、腰椎麻酔によってまれに呼吸抑制状態になり、死に至ることがあるため、産科医の他に、しっかり呼吸管理のできる麻酔科医の協力が欠かせないのだ。わからないこと、不安なことがあれば、信頼のできる産科医に納得のいくまで相談をする。出産は誰のものでもなく、自分自身のものだと自分の頭で考え、子どもが産まれてからの日々に力をたくわえておくことの大切さを今回の放送では教えられた。

 劇中で語られるとおり、出産はひとつのスタートでしかないのだ。

 最終的に、サクラや夫に説得され、無痛分娩を受け入れた麗子。持病も大事に至ることなく、出産後すぐに子どもを抱くことのできた彼女にとって、最善の出産のあり方だっただろう。子どもの顔を見て嬉しそうに「ママですよー」と微笑む麗子を演じた、川栄李奈の素朴な愛情深さにはホッとさせられた。

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