SPEED辞任「橋本健・元市議」が神戸地検に白旗を掲げる理由

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一罰百戒のメッセージを無視?

 記事では回答として《検察幹部》のコメントが示される。幹部によると起訴は《他の議員が二度と同様のことを起こさぬよう、議員の立場を悪用した政活費詐取への警鐘を鳴らす》ためであり、《全額返そうが、辞職しようが、起訴すべきものはしなければならない。詐取金額の多さと悪質性を判断した》というわけだ。

 ちなみに野々村氏は警察の取り調べで認めた容疑の一部を、検察の取り調べでは否認するなど、恭順の意を示す、という状態ではなかったことも影響を与えたのかもしれない。結局、16年7月、神戸地裁は約913万円の詐取を認定し、野々村氏に対して懲役3年、執行猶予4年の判決を下し、確定している。

 橋本氏が認めたとされる詐取の金額は約900万円。野々村氏は913万円だから、かなり似た金額だ。一方で、野々村氏は詐取した金額にかかわらず、正当な政活費も含めて全額を返済した。橋本氏は今のところ、詐取した分だけを返すとしている。

 逆に、取り調べでは決して従順ではなかった野々村氏に対して、橋本氏は少なくとも表面的には全く逆らっていない。兵庫県議の大騒動を、神戸市議は間近で見てきた。他山の石として当然だろう。一般論として起訴猶予・不起訴が多いことも熟知しているに違いない。

「これまで刑事事件になった例が少ないとはいえ、橋本氏が詐取したのは公金、つまり私たちの税金です。犯罪として悪質であることは言うまでもありません。神戸地検は厳しい態度で捜査に臨んでいるのは間違いないでしょう。犯情や発覚後の対応が最悪だった野々村氏との違いがどれだけ示せるかで、起訴猶予の可能性もないとは言えないと思いますが」(同・郷原氏)

 気になるのは野々村氏を「一罰百戒」のメッセージを込めて神戸地検が起訴したにもかかわらず、同じ神戸地検に橋本氏が刑事告発されたことだ。地検のメンツが潰されたと見ることも可能だが、果たして検察官のバッジに描かれている「秋霜烈日(刑罰が厳しい喩え)」通りの展開となるか否か。

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