茨城県知事選、自民党が思い知った創価「F票」の威力

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 接戦を制したのは、与党推薦の“ひよっこ”――。

 現職対新人の一騎打ちとなった茨城県知事選挙(8月27日投開票)である。都議選大敗に続き、仙台市長選でも負けた自民党にとって、是が非でも勝たなくてはならない戦いとなったため、岸田政調会長や野田総務相ら大物議員が応援に駆け付け、国政選挙ばりの総力戦を繰り広げていた。

 地元紙記者の話。

「現職の橋本昌氏は保守派で、これまで特に大きな問題もなかったのですが、6期24年と、在任期間が長すぎた。さらにもう1期となれば選挙民から多選批判の声があがるということで、自民党が53歳の新人、大井川和彦氏を立てたのです」

 つまり、さしたる争点もないまま保守分裂選挙となったわけだが、

「当然、これまで現職を支援してきた医師会など、県の有力団体は、自民党の要請を断り、現職側についてしまい、保守系は一枚岩になれなかったのです」

 となると自民の頼みの綱は、“F票”、つまり創価学会票となる。

 公明党関係者が語る。

「そもそもうちは、どの選挙でも“保守分裂の際は自主投票”というのが習わし。なので3月に自民党が新人に推薦を出したときも、ダンマリを決め込んでいました。現職と党の関係もずっと良好を保ってきましたし」

 ところが、である。

「先の都議選でうちが小池側につき、全勝したことで、自民との間に溝が生まれてしまった。その後、菅さん(官房長官)からの強い応援要請を断れず、7月半ばに急遽、党本部から推薦を出したというわけです」(同)

 それでも、地元支部の動きはまだまだ鈍かった。

「告示後になって山口さん(公明党代表)や石井さん(国交相)が相次いで現地入りし、本気度を示したことで、ようやくギアが入った。菅さん自身もうちの地元幹部を回り、頭を下げたことも奏功し、なんとか挽回できたというわけ」(同)

“F票の威力”を改めて思い知らされたわけだ。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

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