誰もが襲われる「白内障」 最も危険なのは“夏の太陽”

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サプリも効果あり

 佐々木科長によれば、白内障発見の端緒として、

「眼が見えづらくなっても、大半の方は老眼程度にしか考えず、来院する方は少ない。実は運転免許証を更新する際、基準である視力の0・7を下回ったため病院に来て、初めて知るケースが多いのです。それから眼鏡やコンタクトレンズの処方時。眼科では細隙灯顕微鏡という機器で角膜や水晶体を調べるのですが、そこで見つかる場合もあります」

 その治療にあたっては、

「白内障のタイプによっては点眼薬で進行を遅らせることもできますが、通常は手術。濁った水晶体を超音波で除去し、眼内レンズを挿入する方法が一般的です。ただ、症状が進むと水晶体が石のように固くなり、これを包む薄い水晶体嚢が破れたり、水晶体を支えるチン小帯が断裂したりする合併症のリスクが高まります。術後も見えづらくなる場合もあり、早めの手術に越したことはありません」

 世界ではなお失明の原因第1位ながら、国内の技術は格段に進歩し、今や日帰り手術も可能だ。日本眼科学会理事長の大鹿哲郎・筑波大教授が言う。

「現在、白内障の手術件数は年間150万件を超えました。平均寿命が延び、また早い段階で受ける人が増えたのも一因でしょう」

 水晶体に入れる眼内レンズには、

「健康保険が適用される『単焦点レンズ』と適用されない『多焦点レンズ』があり、それぞれ長短があります。前者は1カ所にしか焦点を合わせられず、例えば遠くにセットすると近くを見る時に老眼鏡が必要になる。後者は裸眼で遠近どちらも見えますが、光を2つに分けて焦点を作るため、1カ所あたりの焦点が緩くなります。慣れるまで時間がかかる人もいて、現在普及率は1%未満です」(同)

 ちなみに手術費用は、単焦点は3割自己負担で片目5万円、多焦点は自由診療で30万〜50万円ほど。国民病とはいえ、できれば避けて通りたいものだ。

「有効な予防法としては、禁煙して紫外線をサングラスで防ぎ、抗酸化作用のある食物を摂ることです」(同)

 とのことで、先の佐々木科長もこう指摘する。

「サングラスでなくとも、最近の眼鏡のレンズにはほとんどUV(ウルトラバイオレット=紫外線)カットが施されているので活用しましょう。また、酸化ストレスによって水晶体の芯の部分が混濁する『核白内障』の予防には、ビタミンBやC、Eなど複数の抗酸化ビタミンと亜鉛を組み合わせたサプリが特に効果的です」

 老化現象だからと諦めるのはまだ早い。

週刊新潮 2017年8月31日秋風月増大号掲載

特集「『失明』『認知症』を招く『白内障』『緑内障』『加齢黄斑変性』を完全防御」より

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