泥酔暴行「山口俊」を巨人がクビにしなかったワケ

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 三十にして立つ――というが、この人は30歳の誕生パーティで“立件”されてしまった。

 巨人の山口俊投手が先月11日、酒に酔って病院の扉を壊し、警備員を負傷させたとして、今月18日に傷害と器物損壊の疑いで書類送検された。これを受けて球団は記者会見を開き、山口に対し今季終了までの出場停止と罰金、減俸の処分を発表した。

「金額は明らかにされませんでしたが、どうやらしめて1億円を超えるようです」

 と大手紙G番記者。

「2年前の野球賭博事件以降、巨人はコンプライアンスに敏感になっています。実質的に巨人を牛耳っている山口寿一読売グループ本社社長は法務部門を強化した立役者で、6月に球団社長に就任した石井一夫氏もコンプライアンス徹底のために送り込んだと言われています」

 そのため、当初は山口に対して契約解除つまり“クビ”も検討されたという。

 だが、その判断は見送られた。なぜか。

「昨オフにDeNAからFA移籍した山口の契約は“3年7億円”とされています。彼をクビにしたとなると、これをドブに棄てたことになり、責任論が浮上するのです」(同)

 もっとも山口は故障で開幕に出遅れ、今季はまだ4試合しか登板していない。既に“補強失敗”の烙印が押されたも同然だが、一方で、

「補強の責任者である前GMは、6月に更迭済みですからね。彼をクビにしなかったのは、ひとえに“量刑のバランス”を考慮した結果だと思いますよ」

 とスポーツ紙デスクは異論を唱える。

「山口は逮捕されてないし、被害者との示談も成立している。野球賭博で即解雇された選手と比べると、明らかに罪は軽いでしょう。球団関係者は“事件発生時すぐに球団に報告していたら、こんな大事にならずに隠密裏に処理できたのに”とこぼしてました。この程度でクビという先例を作ってしまったら、じきに選手がいなくなっちゃいますよ」

 巨人軍は紳士たれ――かつてはそんなスローガンがあったはずなのだが。

週刊新潮 2017年8月31日秋風月増大号掲載

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