「三菱UFJ信託」が三菱自“役員人事”反対の波紋

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 株主総会の季節がやって来た。今年の集中日は6月29日。今や総会屋は“絶滅危惧種”となり、企業の監視対象はアクティビストと呼ばれる“物言う”個人株主になっている。だが、今年から“身内”の動向にも目を光らせなければならなくなったのだという。

出来レースの疑惑も

 経済界では、5月31日に開示された三菱UFJ信託銀行の資料が波紋を呼んでいる。全国紙の経済部記者も驚きを隠さない。

「開示されたのは、昨年12月14日に開かれた三菱自動車の臨時株主総会に関する資料。株主である三菱UFJ信託が、三菱自動車の提案した取締役選任議案に“NO”を突き付けたことが読み取れるのです。取締役の候補者には三菱グループ“御三家”トップの2人も名を連ねていましたから、三菱UFJ信託が反乱を起こしたと受け止められても仕方がありません」

“御三家”トップの2人とは、すでに三菱自動車で社外取締役も務めていた三菱重工の宮永俊一社長(69)と、三菱商事の小林健会長(68)を指す。ちなみに、三菱UFJ信託は、“御三家”の1つである三菱UFJフィナンシャル・グループの100%子会社だ。

「結局、三菱自動車の取締役選任議案は可決されましたが、同じグループの信託銀行が反対に回ったことを知った重工の宮永社長と、商事の小林会長は決していい気持ちはしなかったでしょうね」(同)

 三菱UFJ信託銀行は三菱自動車の株式の事務手続きを行う“株主名簿管理人”を務めているが、保有株式は1%未満。議案の可否に影響力は大きくなく、“御三家”トップの2人から不興を買ってまで“反乱”を起こす理由は何だったのか。

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