「デモ恋」VS.「夫に敬語」 韓国大統領選のラブストーリー対決

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■ただひとりの“秘線”

 いわば同志的な夫婦であるふたりの結束は強く、

「文氏が『私には妻以外の秘線(影の実力者)はいない』と公言するほどです。今回の大統領選にあたっても、夫人は地方を精力的に回り、とりわけ夫の支持が弱かった湖南地方に毎週足を運んで、『文在寅の湖南特別補佐官』とまで呼ばれていました」(同)

 他方、安氏の妻で彼より1学年下の金美ギョン(キムミギョン)さんは、夫同様、日本の東大医学部に相当するソウル大医学部を卒業後、留学を経て、米国の州弁護士の資格も取得するなど「スーパーエリート」として知られる。

「彼女も、夫とともにランニングしたり、夫から『帰るメール』をもらって夕食を準備するといった話を明かし、良き夫婦の演出に一役買っていました。なにしろ、夫はノーベル賞をもらえる可能性を秘めた研究者的才能があったと持ちあげていましたからね。また、エリート夫婦らしいと言うべきか、お互いに敬語を使って話し、他人の前でもそのスタイルを貫いています」(在韓ジャーナリスト)

 元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が夫人対決をジャッジする。

「韓国の政治家の妻に求められるのは『献身的に活動しつつも出しゃばらず、一方で夫に諫言もできる』資質です。在野の声に耳を傾けるよう夫に進言し、『国母』と呼ばれた朴正煕夫人が理想の政治家の妻とされています。伝統的に『男が汗水垂らして働くのは沽券にかかわる』というお国柄もあり、夫の代わりにより泥臭く汗をかいたイメージの強い文夫人のほうが、今回は一枚上手でした」

 普段、隣国の芝生が青く見える機会はあまりないが、内助の功が機能している点では、どこぞの国の「奔放ファーストレディ」より優れているのかもしれない。

ワイド特集「男と女の『劇場』」より

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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