中国初「国産空母」、張子の虎と笑っていいのか

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“山東”は大連で建造中(写真はイメージ)

 表面上、動きは静かでも、機会があれば力を誇示するのが“中華帝国”である。

「4月23日は、人民解放軍海軍の創設記念日なのですが、これに合わせて初の“国産空母”の進水式がいよいよ行われるようです」

 と言うのは、ある軍事ウォッチャー。

「同海軍のスポークスマンも『長く待たせることはない』と進水が近いことを示唆しています。中国最初の空母は5年前に就航した『遼寧(りょうねい)』ですが、これは旧ソ連がウクライナで建造中だったもの。いわば中古でしたが、今度は一から建造していますから“国産”を大いに喧伝するはずです」

「山東(さんとう)」と命名され、山東省青島を母港とする予定の新空母は、2013年から建造が進められていた。

 そして人民解放軍は、遼寧に比べて艦載機数も増え、レーダー等の各種装備も一新されると胸を張る。

「しかし、多くの点で山東は遼寧のコピーに過ぎません。とくにあの艦首が反り上がった“スキージャンプ台”は、蒸気カタパルトが開発できなかった証拠。あれでは強力な武器を搭載した重量のある戦闘機を発艦させることはできません。戦力的には、米軍や自衛隊の相手ではないのです」(同)

 だが、侮ってはいけないと評論家の宮崎正弘氏は、警鐘を鳴らす。

「長い年月をかけ、一歩一歩進めるのが中国流ですからね。たしかに山東は示威的な存在に止まるでしょう。しかし、すでに3隻目の空母も上海で建造中ですし、現在の解放軍は良い条件で理工系の学生を集めるなど技術開発にも熱心です。核ミサイルを少しずつ開発していた北朝鮮のことを考えれば、馬鹿にしていても仕方がありません」

 いつか来る危機にこそ、備えたい――。

週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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