プロバスケ「Bリーグ」は失敗? 前チェアマン川淵氏インタビュー

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 全面LEDのコートにレーザー光線を駆使したド派手なオープニングセレモニー。9月22日に開幕したバスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」をテレビで観て、Jリーグ開幕を思い起こした方も多いのではないか。だが、Bリーグが以来、話題にも上らないのは失策ではなかったか。Jリーグ初代チェアマンであり、Bリーグ発足に奔走した川淵三郎・Bリーグ前チェアマン(79)に聞いた。

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Bリーグの準備期間は1年足らず(写真はイメージ)

 まずJリーグと一緒にしてもらっては困るんだよ。あの時はプロ野球が下火になっていて、みんなが野球以外のプロスポーツに飢えていたんだ。テレビ、新聞、雑誌が連日のように取りあげてくれたから、本当だったら何十億円もかけなければ出来ないような宣伝効果が自然に得られたんだ。

〈Jリーグ開幕は1993年5月15日。国立霞ヶ丘陸上競技場に5万9626人を集め、やはりレーザー光線を駆使した演出がなされた。中継したNHKの視聴率は32・4%! 一方、Bリーグは国立代々木第一体育館に9000人を集め、中継したフジテレビの視聴率はわずか5・3%。〉 

 Bリーグは、bjリーグとNBLという2団体をひとつに纏めるところから取り組まなくちゃならなかったから、スタートから違う。やっとひとつになったところで、一気にワーッと盛り上げるのは難しいよ。むしろ準備期間1年足らずの中でよくやっていると思うよ。

 開幕戦の視聴率が低かったのはしょうがない。確かに俺は「15%欲しい」と言ったけど、それは希望的観測でね。ああやって言えば、マスコミに取りあげて貰えるかなと計算したところもある。もちろん2桁いけばいいな、とは思っていたけど、見込みが甘かった。

 観客動員についても、大きなスタジアムでやるサッカーと、せいぜい数千人の体育館でやるバスケを比べたらダメだよ。でもね、Bリーグ発足前までは各クラブの収入は平均2億円だったけど、来年度の予想は平均6億円まで上がっている。最高8億円のチームも出る見通しなんだ。選手の年俸が上がることは間違いないから、士気も上がって上手くなる。今の方針でやっていって問題ないと思っている。

■「サッカーは飽きる」

〈Jリーグとは比較にならないと言い切る川淵氏。だが、民放キー局のテレビ中継すらなくては、人気に火の点きようもない。〉

 いや、スマホで見てくれた人も多かったらしい。特に20代の若者が多かったというから、大失敗なんてことはないよ。バスケの競技人口は63万人もいるし、1回観れば面白さの分かるスポーツなんだ。だから、テレビや新聞でもっと取りあげて貰えるように、広報していかなくちゃいけない。俺、サッカーは観てる途中で飽きちゃうこともあるんだけど、バスケは飽きないんだよ。点の入るテンポが速いし、24秒経ったら相手にボールが回るから、強いチームが一方的に攻め続けることもないんだ。

〈そこまでお好きなら、チェアマンに戻っては?〉

 いやいや、今の調子で大丈夫なんだから戻らないよ。それより問題は東京五輪。女子はメダルも狙えるだろうけど、正直言って男子は厳しい。出場できたとしてもボロ負けじゃあ観客をガッカリさせてしまう。まずはアジアで上位に入ることが目標。あまり詳しく言えないけど、いい監督を連れてくるつもりだから。これから男子は大きく変わるよ。

〈12月3日には80歳を迎える川淵氏。老いて益々気分はチェアマンだ。〉

ワイド特集「1度目は悲劇 2度目は喜劇」より

週刊新潮 2016年12月8日号掲載

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