六本木タワマンvs.湾岸タワマン 不動産バブル再燃で狙うべきなのは  臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?(3)

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 金融緩和による株高で余裕のある国内富裕層に爆買い欲旺盛なアジア勢。彼らの投資マネーが行き場を失って都市部の土地に集中し、地価を押し上げてきたのはよく知られるところである。

 その象徴がタワーマンションであり、設定したのは、

【六本木タワマンvs.湾岸タワマン】

 これは六本木の勝ち。湾岸とは東京の勝どき、晴海、月島、豊洲などのエリアを指し、ここ数年、地価・人気ともに急上昇中。2LDKで80平方メートルに満たないタワマンの一室が8000万円で売り出されていたりもするのだ。

 とはいうものの、建築ラッシュゆえに、供給過多が懸念されており、

「湾岸のタワマン価格は、東京オリンピックの前に下降が始まるかもしれません」

 と、住宅評論家の櫻井幸雄氏が次のように続ける。

「その一方で六本木はと言うと、間もなく坪あたり1000万円の大台に乗りますから、100平方メートルだと3億円。誰でも手を出せる価格ではありませんが、湾岸と違って土地に限りがあり、将来的に売り物が出にくくなるのは間違いない。その点で値崩れしづらいといえ、六本木の方がベターな選択です」

 これに加えて櫻井氏によれば、東京は経済大国の首都にしては、不動産価値が低く評価されてきたという。

「13年前半時点で、都心部のマンションは坪400万円ぐらいだから100平方メートルで1億2000万~1億4000万円が相場。ところが同じ時期に台湾の台北にある同じ広さのマンションが2億円、シンガポールでも3億円でした」

■「東京六本木新城攻略」

 そんななか、2年前の9月に東京五輪開催が決まると事態は変わる。少なくとも開催までは上がるだろうという観測と円安も相まって、先を争うように世界中から買いが入り始めたのだ。

 これには当然、中華系の購入者も多く含まれていて、中国の事情に詳しい、シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト・田代秀敏氏がこんなエピソードを披露する。

「中国人の金持ちは、東京の不動産といえば、銀座、赤坂、六本木が大好き。中国に行くと、ビルや店の名前にもそうした地名がついている。とくに六本木が大好きで、『東京六本木新城攻略』というサイトがあるほど。つまり六本木の新築マンションをどう買うかに興味津々というわけなのです」

 その精神は3年やそこらで変わらないだろうから、この点でも「六本木推し」である。

「特別読物 臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?――西所正道(ノンフィクションライター)」より

西所正道(にしどころ・まさみち)
1961年奈良県生まれ。著書に『五輪の十字架』『「上海東亜同文書院」風雲録』 『そのツラさは、病気です』、近著に『絵描き 中島潔 地獄絵一〇〇〇日』がある。

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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