英国は「諜報員2000人」リクルート作戦

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 ジェームズ・ボンドの出身大学を御存知か。英国秘密情報部(SIS)、通称MI6への就職に大学名は問われないが、ボンドは名門オックスフォード大卒。実は同大→MI6のルートはグレアム・グリーンやジョン・ル・カレといった作家も辿った王道。諜報の世界に精通する外交ジャーナリストの手嶋龍一氏によると、同大には伝説的なリクルーターの教授が存在したという。

 ことほど左様に、スパイには高い知性と国家への忠誠心を疑われぬバックグラウンドが要求されるわけだが、

「キャメロン首相は15日、パリでのテロ事件を受けてMI6やMI5(機密諜報部(SS))、米NSAに相当するGCHQ(政府通信本部)といった情報機関を強化するため、諜報員2000人を公募すると発表しました」(国際部記者)

 現在、この3つの組織に在籍するのは1万2700人、およそ15%の人員増となる。

 MI6のHPを覗いてみると、“ワークライフ・バランスを大切に”と謳われ、勤務地はロンドン、給与は情報分析官で年に500万円ほどだが、公務員年金に医療保険と福利厚生が充実。ボンド同様の秘密情報員となると、募集要項に“わくわくするようなユニークな仕事”“海外勤務の可能性あり”“語学研修制度あり”とあるものの、待遇は不明。

「かつて英国は本部の所在すら秘匿し、情報部員もエスタブリッシュ層からが主でしたが、それでは足りず、公募に踏み切ったのでしょう。公募にはテロリストが紛れ込む心配がありますが、米CIAやNSA、露FSBほど巨大でなくとも伝統ある英国のインテリジェンスは一流。当局は百も承知で手ぐすね引いているのかもしれません」(手嶋氏)

 釣られたヤツは、あっという間に骨まで裸だ。

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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