[仏テロ]フランス隣接「ベルギー」が15年後にイスラム国家になる

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「移民は静かなる侵略」とも呼ばれる。ISによる連続テロの実行犯が潜んでいるとされるベルギーは、隣のフランスに劣らぬ移民国家だ。戦後50年にわたって移民を受け入れ続けた結果、15年後にはイスラム系住民が国民の過半数を占める事態が訪れるという。欧州のど真ん中にイスラム国家が誕生する日は来るのか。

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「ベルギスタンへ、ようこそ!」

 首都・ブリュッセル市の入り口に設置された観光客向けの看板の一つは、最近まで国名の「Belgium」が、「Belgistan」とイスラム国家風に書き換えられていたという。無論、イタズラに過ぎないが、地元ジャーナリストは決して笑いごとではないと眉をひそめる。

「ベルギーの人口は約1120万人で、国内に住むイスラム教徒は約65万人に達します。全人口の6%に過ぎませんが、フェリス・ダセットという社会学者は“15年後にはイスラム系がブリュッセルの住民の過半数を占めることになる”と警鐘を鳴らしています。実際、ブリュッセル在住のイスラム教徒は25・5%に達しています」

 こうした状況に危機感を募らせる人々は決して少なくない。ここ数年、ベルギーでは移民の排斥を訴える保守系や極右政党が急速に勢力を伸ばしているのだ。

 例えば2010年の選挙では、保守系の政党「新フラームス同盟」が、平均3人とも言われるイスラム教徒の高い出生率への懸念や、母国に帰った後でも支給が続く移民年金の撤廃などを訴えて、31・9%もの支持を得て第一党に躍り出た。移民の強制送還など過激な民族主義を訴える極右の「フラームス・ベラング」も6%の支持を得ており、両党を足すと、強硬に反移民の立場を取る政党が国民の4割近い支持を得ていることになる。

 勢いを増す両党の支持者には、「2030年にはブリュッセルの街どころか、ベルギー国民の半数がムスリムになる」と、より過激に不安を煽る運動家も少なくない。その背景には、11年に始まったシリア内戦で発生した難民32万3000人の存在がある。

「ベルギー政府は今年9月にシリア難民の受け入れを表明し、約5000人を保護することに決めました。加えてベルギーは移民が国外の家族を呼び寄せる権利を保証しています。近い将来、今の何倍ものイスラム教徒が入って来ますよ」(先のジャーナリスト)

■時間の問題

 ベルギーのあちこちでは、イスラム教徒の増加と共に治安の悪化も深刻な社会問題になっている。

「より良い住環境を求めて隣国のオランダやフランス、ドイツに転居する非イスラム系住民が徐々に増え始めています。イスラム教徒が流入する一方で、既存の住民が国を去ればベルギーは首都だけでなく、その他の都市や地域でもイスラム化が進むことになります。イスラム教徒が行政を司る地域や都市が増え続ければ、国会にも彼らの意見を代弁する議員が登場して、国の意思決定も左右するようになってしまいます」(同)

 仮に欧州の中心に位置するベルギーがイスラム国家に変貌すれば、テロリストたちはEU圏内を縦横無尽に移動して、テロ攻撃などやりたい放題だ。

 それを予感させるように、ブリュッセルで活動するイスラム系団体『ベルギーにイスラム法を』の代表は不穏な発言を繰り返している。

「アフリカ系移民の2世とされる、アブ・イムランという人物ですが、彼は米国メディアの取材に対し、“この国でイスラムが多数派になるのは時間の問題”“我々を押し戻したいのなら、男は4人の女性と結婚して子どもをたくさん作ることだ”“我々の勝利は目前。イスラム教徒とイスラム法を受け入れる準備をしておいた方が良い”などと答えていました」(外信部デスク)

 テロとの戦いを宣言した欧州には、絶体絶命の事態と向き合う日が待っている。

「特集 うっすら見えてきた『地下組織』の衝撃 『イスラム国』大規模テロの不穏な幕間」より

週刊新潮 2015年12月3日掲載

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