頻繁にトルコへ渡航する元オウム「上祐史浩」はISに興味があるのか

社会週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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 紺碧の空に切り立った海岸線。年300日が晴天という太陽の恵みに浴し、山間部にはオリーブの果樹園が広がる。“トルコのリビエラ”と称される地中海沿岸のリゾート地、アンタルヤ。当地の空港に不釣り合いな男女3人連れが降り立ったのは、10月中旬のことだった。元オウム教団の大幹部、上祐史浩氏(52)らご一行である。だが、イスラム国(IS)とコンタクトを取るとでも疑われたのか、彼らは入管当局に行く手を阻まれた。

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元オウム、上祐史浩氏

 現在、オウム後継団体の一つ、『ひかりの輪』の代表を務める上祐氏。実は、これが5回目のトルコ訪問だったが、入国拒否されたのは、今回が初めてだ。

「彼が初めてトルコを訪れたのは一昨年10月。以来、昨年2回と、今年も5月に渡航したばかりでした」

 と、公安関係者。

「ロシアには未だにオウム時代の信者が多数いるが、上祐代表は混乱を避けるため、ロシアへの入国を自粛しています。そこで隣国のウクライナに渡り、その地にロシア人信者らを呼び寄せ、説法会を行っていた。ところが、2013年2月、はウクライナから入国拒否処分を受けた。そのため、新たに欧州で布教活動を行う拠点として求めた新天地がトルコだったのです」

 トルコと言えば、ISの急台頭で、国民の半数が難民化しているシリアと国境を接している。戦闘員としてISへの参加を目指す外国人や取材目的のジャーナリストらがシリアに入る経由地として、トルコを利用してきた経緯がある。今年1月、ISに処刑された後藤健二さんも同じルートでISへのアクセスを図り、悲劇に見舞われたことは未だ記憶に生々しい。

■狙いはロシア人信者獲得!?

「そのためトルコ政府は今年半ば頃から、過激派などとの関係が疑われる要注意人物をリスト化し、約1400人を国外に追放。約700人を入国禁止処分にした。また人質事件の勃発を避けるため、ジャーナリストの入国拒否も連発してきたのです」(外務省関係者)

 しかも、この10月10日には、首都アンカラで100人以上の犠牲者を出す自爆テロが発生したばかり。

「その数日後に上祐代表らがのこのことアンタルヤに現れた。かつてテロ組織の幹部だった上祐代表は当然、入国禁止者リストにアップされていたわけです」(同)

 アンカラの事件は、当局によって、IS関連組織の犯行と断定された。一方の上祐代表自身もかつては東京の亀戸道場から猛毒の炭疽菌を散布し、無差別テロを謀った疑いが残っている。“東西文明の十字路”トルコで二つの組織は危険な邂逅を果たしたのか。彼の国で彼らは一体何を行っていたのか。

 ご本人にご説明願おう。

「ISと接触を図るなんて、あり得ないでしょう。それにトルコには支部はなく、トルコ人に対する勧誘をしている事実もありません。オウム真理教やアレフの信者だったロシア人で、脱会を望んでいる方たちがいる。その脱会支援を行っているのです。以前はウクライナで行っていたが、入国できなくなってしまった。そこでロシア人からすると交通費も安く、来やすいトルコで、同じ活動を行っているだけ。アンタルヤ空港から車で2時間ほどのチャムユヴァという街のホテルで脱会の相談を受けてきました」

 しかし、オウム問題に詳しい有田芳生参議院議員は、

「『ひかりの輪』は、主流派のアレフに比べれば、国内勢力も広がらず、食い扶持をどうするかという問題を抱えている。こうした状況の中、かつてロシア支部長として3万人にも上るロシア人信者を指導した上祐氏にすれば、このパイを資金源として求めていくのは当然あり得る。善意だけで脱会支援を行っているとは素直に受け取れません」

 元オウム信者をアレフと奪い合ったり、そこから引っ剥(ぺ)がそうとしているのだから、海外での布教活動の一環には違いあるまい。

「ワイド特集 ふとどき者ほどよく眠る」より