大舞台でシニアの星「田村尚之」失格事件

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「悪魔は細部に宿る」とはアメリカのことばで、細かいところに落とし穴があるという意味。10月31日、3日目を迎えた「日本シニアオープン」で、田村尚之選手(51)はその言葉を噛み締めた。使用していたドライバーがルール違反とされ、失格となったのである。

 ゴルフ記者が解説する。

「日本に限らず、トーナメントで使用するクラブはスコットランドに本部があるゴルフの“総本山”R&Aの規則に適合していて、かつR&Aが公開するリストに掲載されている必要があります。30日に日本ゴルフ協会に“田村のドライバーはリストに掲載がない”との指摘が寄せられました。調査の結果、記載がないことが確認されたのです」

 最終日を控え、田村は首位と4打差の通算4アンダーで5位タイという好位置につけていた。身長172センチながら、平均280ヤードという飛ばし屋を支えたのは、4年前に設立された新興メーカーのドライバーだった。

「本来、規則の確認といった細かい作業はメーカーの仕事。田村の契約先はツアーサポートの経験が浅いので、確認作業が杜撰になったのだと見られています」

 思わぬアクシデントで注目を集めた田村だが、プロデビューは僅か2年前。それまでアマチュア界では知られた存在だったという。

「広島出身で、東京理科大の工学部を卒業後はマツダでエンジニアをしていたそうです。サラリーマン生活の傍ら腕を磨き、アマ大会での優勝は12回。シニア参戦が可能になる50歳を目前にプロ入りを決断し、13年のテストに合格したばかり。今季のプロ初勝利は時間の問題だと期待を集めていたのですが」(ゴルフ誌デスク)

 現在、獲得賞金は1932万円でランキングは4位。今回は苦杯を嘗めたが、今季の成績は有効だそうだ。

週刊新潮 2015年11月12日掲載

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