中国「一人っ子政策」廃止でも重たすぎるツケ

中国週刊新潮 2015年11月12日号掲載

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 世界人口は約72億人、そのうち中国には約13億人が住む。1979年に始まった一人っ子政策で4億人を抑制できたとされている。

 10月29日に閉幕した中国共産党の重要会議「5中全会」は、その一人っ子政策を廃止し、全ての夫婦に2人の子供を持つことを認めた。

「このタイミングでの廃止は、実は景気対策なのです。経済の失速が明白になった今も即効性のある手がない。中国は子供にお金を惜しまない風潮があり、出産育児に関係する内需拡大を期待しているのです」(中国出身の評論家、石平氏)

 毎年300万~800万人の新生児が増え、年1600億元(約3兆円)の経済波及効果も生まれるという算段らしい。

 昨年から、夫婦の片方が一人っ子なら第2子の出産が認められていたが、

「年200万人増の予測に対し47万人増に過ぎなかった。親自身甘やかされて育ち、2人目にお金と時間を割くより自分の楽しみが大切です。今回も劇的な変化は考えにくい」(外信部記者)

 それでも方向転換せざるをえなかったのは、至る所にひずみが出ているからだ。

 一人っ子なら男児を望み、妊娠中に女児と分かると中絶したり、出産直後に間引かれたため、男の方が15%以上多い。従って結婚難。

「都市部の女は学歴や持ち家がない男を最初から相手にしない。地方出身者など論外です」(中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏)

 少子高齢化も待ったなし。

「一人っ子政策以前の多産世代が安い労働力を提供し、世界の工場と呼ばれたものでした。15歳から59歳の労働人口は2012年に減少に転じた。60歳以上の人口比率は現在15%を超えており、このままでは50年に約30%になる」(先の記者)

 2049年の建国100年を世界最強国として迎えるための布石にも見える。

「計画出産の基本国策は堅持、2児までの制限は残したまま。出産取り締まりと違反者からの罰金徴収をしていた政府機関の抵抗があるのです。国家の大計の一方で、育児や教育費の支援はどうしてくれるんだとの声が早速上がっています」(同)

 皆、わがままになりました。