傑作選ニューフィルムに自腹を切った「加賀まりこ」

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 江戸の風情が残る街、神楽坂(東京新宿区)で現在、開催中の“まち飛びフェスタ”(11月3日まで)。神楽坂ゆかりの伝統文化・芸能などをイベント化したもので、今年で14回目。そこに都内でも数少ない名画座「ギンレイホール」が加わった。

「昨年、開館40周年ということで“神楽坂映画祭”を開催したのですが、そのとき商店街の方から、来年はぜひ参加して貰いたい、とお話を頂いたんです」

 とはギンレイ支配人。

 ならば神楽坂に縁のある人を、と白羽の矢が立ったのが加賀まりこ(71)。長年この街に暮らしているのだ。

「“加賀まりこスペシャル”と題して、加賀さんご自身に出演作品を選んで頂きました」(同)

 それが『美しさと哀しみと』(1965年)、『泥の河』(81年)、『麻雀放浪記』(84年)の3作。

「『美しさ~』は、加賀さんをスカウトした篠田正浩監督の作品であり、ぜひ加えたかったと思うのですが、なにぶん50年を経て、フィルムの退色が激しかったんです。そのまま上映するか、別の作品に替えるか、尋ねると、わざわざニュープリントを用意して下さった」(同)

 加賀まりこが一肌脱いだというわけだが、なぜこの3作なのか。

 映画評論家の白井佳夫氏は感心しつついう。

「『麻雀放浪記』は出番もそれほどないのに、ヤケに印象に残るクラブのママ。『泥の河』は廓舟の娼婦役、『美しさ~』は小悪魔的。個性的な監督が光を当てると、様々な反射を見せる彼女の魅力が伝わる3作ですよ。加賀まりこの3つの顔が見られる、いい選択です」

 加賀まりこスペシャルは、残り10月30日のオールナイト(当日券は3本まとめて2000円)のみだが、見応えがありそうだ。

週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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