デモ隊へ感謝の言葉に罵声が返った民主党「枝野幸男幹事長」

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「人間は誤解する生き物」というけれど、この誤解っぷりは恥ずかしい。民主党の枝野幸男幹事長(51)は、国会議事堂周辺に集まったデモ隊を自身や民主党を支持する大集団だと早とちり。仲間と思ってマイクを片手に声を張り上げるや、思いもよらない罵声を浴びた。

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聴衆の反応が対照的だった岡田代表と枝野幹事長

「お前のためじゃない!」

 拍手とともに上がったのはキツーイ一言。参議院での安保法案の採決を翌々日に控えた9月16日夕刻、枝野氏が大勢のデモ隊を前に、

「たくさんの皆さんが、この国の立憲主義と民主主義を守るために、こうして集まって頂いていることに心から敬意を申し上げたいと思います。ありがとうございます!」

 と、感謝の言葉を口にすると、途端に聴衆から先の罵声が投げつけられた。枝野氏は開口一番、赤っ恥をかかされたわけである。

「気分は完全に自分の選挙区でしたね」

 と野党担当記者も苦笑い。

「枝野さんは、JRの大宮電車区がある埼玉5区が地盤です。JR総連を始めとする各種労組が主な支持組織ですから、デモに参加した労組系団体が至る所で掲げる何本もの幟(のぼり)を前に、支持者に囲まれていると錯覚したのでしょう。しかし、参加者の全てが枝野氏や民主党を支持しているわけではありません。彼らの多くはむしろ、“野党がだらしない”と怒っているくらい」

 自分が好意を寄せる相手の気持ちを忖度できず、手前勝手に相思相愛と思い込むのは思春期にありがちな勘違い。枝野センセイ、どこか恋愛下手な高校生のようでもある。

「主催者によると、この日に集まったのは約3万人。警察発表ではその半数にも満たない約1万3000人でしたが、来夏には幹事長として参議院選挙を指揮する枝野さんの目には、民主党を躍進させる大票田に映ったのかもしれませんね」

 一方、安保法案は3日後の19日未明に可決・成立し、それを受けて岡田克也代表(62)は東京・銀座で演説を行った。その様子を政治部デスクが解説する。

「演説は、お昼過ぎに銀座4丁目交差点の近くで始まりました。冒頭、岡田さんが“心から皆さんにお詫びを申し上げる”と頭を下げると200人くらいの聴衆は拍手で応え、自民党を批判する言葉には“そうだ!”と相槌を打つなど、なかなかの盛り上がりでした」

 もちろん、ここには党が支持者を動員していた可能性がある。が、枝野氏と岡田氏への聴衆の反応の違いを政治評論家の浅川博忠氏は次のように指摘する。

「国会前のデモに参加した人々は、与党にも野党にも満足しない問題意識を持った人たちで、枝野さんが上から目線で勝手に支持者扱いをすれば反発するのは当然です。また、そもそも安保法案に関する世論調査では、反対や慎重な意見が多かった。聴衆が安保法案や自民党を批判する岡田さんに共感したのは、自然なことだったと思います」

 聴衆の見極めもできない枝野氏が幹事長。民主党の迷走はまだまだ続きそうだ。

【特集】「狂躁『安保法制』の後遺症」より

週刊新潮 2015年10月1日号掲載

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