人を、風景を、空気をも変える読書/『文学の空気のあるところ』

文芸・マンガ

 語りの面白さに定評があり、ラジオ番組でも人気があった現代詩作家の講演集。難しい言葉はつかわず、聞く人の内側にすとんと入ってくるが、すぐには消化されない。牛のように何度も取り出して反芻したくなる、散文ではあるが詩のような言葉の数々だ。

 講演のテーマは、「昭和の本棚を見つめる」であったり「高見順の時代をめぐって」であったり。ほとんどが日本近代文学館の主催なので、テーマは本や文学のことに限られている。小説以上に現代人から遠い存在となっている詩歌の言葉を繰り返し取り上げているのもこの著者らしい。

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