言語道断! 中国国営通信社「天皇陛下の謝罪」要求のタイミング

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〈天皇裕仁は日本が侵略した被害国と人民に、死ぬまで謝罪の意を表したことはなく、その後継者は(中略)謝罪を以て氷解を得て、懺悔を以て信頼を得て、誠実を以て調和を得るべきだ〉

 中国国営の新華社通信が8月25日に配信したこの論評記事に、衝撃が走っている。

「従来の中国政府のスタンスを、明らかに逸脱していますからね」

 とは、政治部デスク。

「中国は戦後、日本の戦争責任に対して一貫して『軍民二元論』の考えを取ってきました。これは、責任はあくまでも当時の日本の軍国主義勢力にあり、日本国民にはないというもの。そのため、日本国民の統合の象徴である天皇陛下への言及は避けてきた経緯があるのに、記事では昭和天皇の責任に言及したうえで、今上陛下の謝罪まで要求している。前代未聞です」

 一体、何があったのか。外務省関係者が言う。

「ちょうど安倍晋三総理の訪中見送りが正式に発表された翌日のことだっただけに、その“報復”としか思えません。そもそも中国の『抗日戦争勝利記念日』に当たる9月3日の訪中は、今年4月の日中首脳会談の際、習近平国家主席が安倍総理に直々に要請したものでした。その意向を受け、官邸や外務省が調整を続けてきましたが、結局は参議院での安保関連法案の審議を優先し、見送ることになった。メンツを潰された格好の中国政府は、黙っていられなかったというわけ」

 すかさず、日本政府は抗議をしたが、日中関係はどうなるのか。

「外務省は、まさか中国がここまで怒るとは予想していなかったようですが、中国政府の単なる“腹いせ”であって、本気で謝罪を求めているとは見ていません。これで日中関係が一気に悪化することはないでしょう」(先のデスク)

 茶番に天皇陛下を利用するなど、言語道断である。

週刊新潮 2015年9月10号掲載

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