山本夏彦『夏彦の写真コラム』傑作選 「銀行はやっぱり金貸」(1980年3月)

社会週刊新潮 2015年8月6日通巻3000号記念特大号掲載

 すでに鬼籍に入ってしまったが、達人の「精神」は今も週刊新潮の中に脈々と息づいている。山本夏彦氏の『夏彦の写真コラム』。幾星霜を経てなお色あせない厳選「傑作コラム集」。

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 前回金貸について言いかけたから、今回はそれに続いて言う。

 戦前は人口三、四万の地方都市に、コンクリートの建物といえば銀行があるだけだった。建物の正面入口を一段と高くして、軒の低い家々を圧して、銀行は金貸のイメージを拭い去ろうとして、去るに成功したのである。

 けれども銀行は依然として金貸で、銀行員はその配下である。

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