放置すれば昭和40年不況の二の舞!? 「東京五輪」宴の後の大不況に備える!――西所正道(ノンフィクション・ライター)

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■国民の財産も…

「いやいや」

 と、経済アナリストの森永卓郎氏が話を受ける。

「オリンピック後はおろか、ひょっとしたらその前の段階で、景気が悪くなるかもしれないタイミングが2度あるんですよ。1度目は17年4月。消費税の10%への増税時期です。97年に消費税を5%に上げたときも、税収は減少傾向に陥りました。8%に上げた去年もマイナス成長だった。ただ、このときはたまたま原油価格暴落という“神風”が吹いて何とか踏みとどまったけれど、もしそれがなければ経済はガタガタになっていたと思います。消費税引き上げによる財政破綻危機というのが、いちばんありうるシナリオです」

 消費増税ショックに追い打ちを掛けるのが、五輪開催前年の19年だという。

 森永氏が続ける。

「例えば、北京オリンピックでは予定どおり工事が進んだこともあって、オリンピックの恩恵を受けて伸びていた業界は冷え込みを余儀なくされ、早くも開催前年にバブルが崩壊した。上海の株価指数が半分にまで落ちてしまいました。東京の場合、新国立競技場の進み具合にもよりますが、消費税不況よりは軽いにしろ、一つの谷が来るでしょう」

 前出の高橋氏は、先に述べたように、「五輪後の不況」を想定している。彼がもっとも危惧する問題のひとつは、市中発行の国債の9割を日銀が買い入れている「異次元金融緩和策」だ。

「現在、日銀が国債を買うためにどんどんお札を刷っている。ただね、オリンピックを終えたあともなお、それを続けることはできないでしょう」

 日銀が国債購入をやめると何が起きるのか。

「低く抑え込まれていた金利が急騰します。次に今と違って株安、そして円安というサイクルになる。急激な円安は避けられず、もしかしたら1ドル=150円くらいになるかもしれません」(同)

 日本は輸入品に依存しているので、物価は上昇。とくに生活必需品の値上がりは一般家庭を直撃する。

「設備投資もストップせざるをえない。言うまでもなく、とりわけ中小企業にとってはかなりきつくなりますね」(同)

 となると、日経平均株価の下落も避けられない。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資金に占める日本株のウエイトが高められているがゆえに、国民の財産も無傷というわけにはいかないのだ。

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