黒柳徹子『徹子の部屋』で会話に困ったある男とは?

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「例外」はあります

 それでも「例外」はあります。印象深いのは千代の富士さん(現九重親方)です。以前から出演を打診していたものの、実現したのは彼が関脇になってからでした。ようやく出てくださると思っていたら、収録の直前に九重部屋のおかみさんから、「あの子はあまり女の人と話したことがないから、気を付けて話を訊いてやってください」と、連絡が来たんです。

 いざ収録が始まると、コーヒーがお好きな千代の富士さんは、サイフォンでコーヒーをお飲みになるというので、テーブルの上で作りましたが、コーヒーが全部、(サイフォンの)上(の方)にあがっちゃったんで、「これ、どうするんです?」と伺ったら、彼は一言「飲むんだね」。しかも、羽織紐をずっといじくりながら、スタジオにいたお連れの力士さんと目を合わせて照れ笑いなんかしちゃって。「お相撲、お好きですよね?」とお尋ねしても、「嫌いだね」と一言。でも、私が「えーっ!」って驚くと、それでもなぜお相撲を辞めなかったか、それと肩の脱臼のことなんかを一生懸命話してくださいました。

週刊新潮 2015年8月6日通巻3000号記念特大号掲載

「特別読物 『黒柳徹子』が振り返った『徹子の部屋』1万回の余話」

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