こちらも隠せなくなった東芝「迎賓館」の豪奢

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 ♪光り満ちわたれ はてなくとどけ~。「東芝社歌」の一節である。田中久雄元社長が記者会見を開いた7月21日、時を同じくして東京ドームで都市対抗野球に出場中の西関東代表「東芝」がJR四国と対戦。球場にいた東芝の社員ら1万人による社歌の大合唱が響き渡ったのだ。

 記者会見の翌日、東芝は子会社が保有する海外企業の株式を約1180億円で売却したと発表。経済部記者が指摘するには、

「今後、東芝は有価証券報告書虚偽記載などで百億円単位の課徴金を支払うことが予想され、資金繰りは相当厳しくなる。メインバンクからはスポーツ・文化事業の補助金縮小を求められて、野球部の廃部も現実味を帯びるが、“接待所”を売却するのが先でしょう」

 接待所とは、東京・高輪の東芝山口記念会館と西大井の東芝会館。2カ所の敷地面積を合せると約8800平方メートルある。

 なかでも、品川駅から徒歩10分の東芝山口記念会館の建物は地上2階、地下1階の洋風の豪奢な作り。90年前、旧三井財閥幹部・朝吹常吉の本宅として建築されたが、時を経て東芝の所有となり、社内では幹部専用の“迎賓館”として知られている。

「施設を利用できるのは、本社の役員クラス以上に限られています」

 こう語るのは、施設を利用した経験のある東芝関係者だ。

「料理は和洋中から選べて、いずれも一流ホテルからスカウトした専属料理人がいます。飲み物も料理に劣らず充実していて、常駐するソムリエが料理に合わせたワインを選んでくれるし、各地の有名な日本酒や焼酎も常備されている。基本的に料金は会社のツケですからタダ。子供の誕生日などの記念日に利用する幹部もいます」

“東芝社歌”は、こんな歌詞で終わる。

 ♪進み行く東芝 その名ぞ永遠に~。

 社名を永遠に残したいなら、幹部専用の迎賓館を売るのが先ではないか。

週刊新潮 2015年8月6日号掲載

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