自己破産したガニマタ打法元中日「種田仁」のギャンブル狂

野球週刊新潮 2015年7月2日号 掲載

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 大相撲の力士が身を持ち崩した野球賭博は違法だが、野球選手が公営賭博に興じても法に反しない。とはいえ、やりすぎると身を持ち崩す点では、どちらも大して変わらない。ましてや種田仁(43)のように自己破産に追い込まれたら……。

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 それは6月3日付の官報に、小さく書かれていた。

〈債務者 種田 仁〉〈主文 債務者について破産手続を開始する〉

 住所は仙台市内。最近は杳(よう)として行方がしれないあの種田が、野球界で最後に勤めたのも、仙台が本拠地の楽天イーグルスだった。

 種田――。両脚を広げた独特の“ガニマタ打法”のフォームを見れば、思い出されるのではなかろうか。

「大阪の上宮高校で元巨人の元木大介と同学年で、1989年のドラフトで中日に入団。ケガに泣きますがガニマタ打法を考案後、代打で11打席連続出塁の日本記録も樹立。ピークは01年からの横浜時代で、04年と05年に3割を打ち、年俸も1億円に達したんです」

 スポーツ紙記者はそう語るが、プロ野球選手が安定して成績を残すのは、博打で当てるよりも難しい。

「07年のシーズン後に戦力外通告を受け、08年に西武に移籍するも、一軍出場がないままクビ。ホリプロに所属したのち、10年に韓国の三星ライオンズのコーチ、翌シーズンは楽天のコーチに就任しますが、翌年1月に“一身上の都合”で退団したんです」

 以来3年余り、近況が報じられずに件(くだん)の官報である。結論を先に言えば、そこに書かれた住所に「あの種田」はいた。債権者が四十数名に上るそうだが、本人の言い分に耳を傾ける前に、

「種田は“飲む、打つ、買う”の三拍子がそろった典型的な昭和の野球選手」

 と評する中日時代の同僚、愛甲猛氏の話を聞きたい。

「ただ、“打つ”は好きだけど弱いんです。ロッカーで競馬、競輪、競艇、パチンコの新聞や雑誌を読んで研究していたけど、麻雀でも気の毒なくらいカモにされちゃう。弱いくせに高い役で上がろうと頑張ったり、でかい夢見ちゃうのね。それで負けが込みはじめると目がマジになる。何人かで韓国に行ったときは別行動でバカラやルーレットやって、2日で“300万スッた”と言って、翌日、“300万取り返した”。再び相当な額を注ぎ込んだってことで、一歩間違えたら大やけどではすみません」

 むろん、ホメる声もあり、古手の中日担当記者も、

「いつも遅くまで特打ちをする練習の虫でしたし、よく冗談を言う明るい性格で、周囲に気配りもできる」

 と言うが、一方で、

「中日はギャンブル好きが多かった。オフシーズンに中京競馬場や蒲郡競艇場のイベントに呼ばれたりしてハマるんです。97年のプロ野球選手脱税事件では種田は起訴猶予でしたが、翌年、3週間の出場停止になった。実はあの事件、名古屋の競輪選手が、世話になっていた税理士から脱税指南を受け、親しい中日選手にも紹介したのが発端でした」

 種田のギャンブルとの縁を指摘するのである。

■計5人の実子

 そんな種田は05年に最初の結婚をしたが、

「種田さんは結婚前から毎週末、100万円単位で競馬にお金を注ぎ込み、新婚旅行先のラスベガスでも数百万円負けた――とA子は話していました」

 そう語るのは、種田の元妻A子さんの知人である。

「A子は結婚後も種田さんとほとんど同居していません。結婚直後から女性の声で“別れてほしい”と電話が入り、ストレスで2回も流産したし、8年前に横浜に家を新築しても、当時0歳の子もいた新居に、彼は一度も足を踏み入れなかったんです。しかも年俸1億円のときもA子に渡すのは月35万円だけなのに、彼女が種田の現住所を探して訪れ、ポストの請求書を見ると、キャバクラなどで使った請求が月額600万円もきていたとか。年俸が下がって税務署やサラ金から督促状がきて、A子が“どうするの”と聞くと“来年もやれると思っていた”。家のローンも滞納し、競売するしかなくなった末に5年前に離婚。彼は月8万円の養育費を払う約束でしたが、2年前に5000円への減額を求めてきた。調停で1万7500円に落ち着いたのですが、その際、種田さんには2番目の奥さんとの間に1人、愛人との間に3人、計5人の実子がいることがわかったんです」

 さて、いよいよ、今は背広姿の営業マンになった種田の話を聞く番である。

「俺は家を買うためにローンを組んでも、ギャンブルで借金をしたことはありません。自己破産の原因は現役引退後の税金です。ちょうど最初の奥さんとの離婚が同時期だったんや。彼女に慰謝料と持ち家を渡すことになったんやけど、家のローンが相当残ってて、金を借りて払ってから奥さんに渡した。そのうえ収入がないのに、翌年も税金をたくさん払うために借金して、借金を返すためにまた借金をして、自己破産や」

 だが、ギャンブルや女遊びに興じた金の一部でもコツコツ貯めていれば、こんな事態には至らなかったはずだが――。それにしても、金がないのに、なぜ楽天のコーチを“自己都合”で辞めたのか。種田に代わって同居する女性が語る。

「私は種田とは5年前から同居しています。するとある日、“実はある女性と入籍した”と言われ、びっくりしましてね。その人との間に子供がいて、“責任を取れ”と責められたというんです。でも、入籍しても種田は私と私の連れ子、種田と私の間の3人の子と暮らしていたので、彼と同居できないその女性は業を煮やして楽天に“種田は愛人とその子供たちと暮らしている”と電話し、彼は退団することになったんです。その女性とは今年頭に無事離婚が成立しました」

 身勝手な七転八起を繰り返しても支えてくれる家族がいるとは、生命力の強さに恐れ入るばかりである。

「ワイド特集 七転八起の七転八倒」より