【安保法制】「国会を取り巻け」と煽る「団体」は「安倍DNA」を知らず

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 日米安保条約を阻止すべく、デモ隊が国会に押し掛けたのは55年前のこと。いわゆる「60年安保闘争」である。その再現というわけなのか、国会を包囲する呼びかけが大きく新聞に載った。だが、岸信介総理(当時)が意にも介さず条約を成立させたことは歴史の示す通り。せいぜい安倍総理を発奮させるだけの「お祭り騒ぎ」か。

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〈とめよう!戦争法案 集まろう!国会へ〉

 そんな全面広告が朝日新聞に載ったのは6月7日のことである。安保法制を阻止するべく、6月14日と24日に国会を取り囲もうという呼びかけだ。

「60年安保闘争で約13万人が国会議事堂に押し掛けたのも55年前の6月でした。まるで、当時の国会デモを再現しようとしているかのような呼びかけです」(公安担当記者)

 それにしても、朝日新聞に全面広告を載せると数千万円はかかる。同じ広告は東京新聞にも掲載されているから相当の資金力だ。集会を仕掛けるのは、どんな組織なのか。広告には、

〈戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会〉

 とある。聞きなれない名前だが、そこに記された都内のビルの一室に「事務局」があった。

 電話をすると、今回の呼びかけを担当しているという人物・高田健氏(70)が出て、こう語った。

「今回の集会は数万人規模になると思います。5月にも横浜市の臨港パークで集会を行ったのですが、3万人(主催者発表)が集まった。だから、6月14日は60年安保闘争の時に匹敵する運動になるはずです」

■「安保闘争に参加した」

 高田氏が続ける。

「今回の広告費は皆さんから集めたカンパによるものです。一口1000円で、集まった金額は言えないけど過去最大の額。反響もすごくて朝から問い合わせの電話が鳴りっぱなしです」

 ずいぶんと鼻息が荒いのだが、この高田氏という人物、市民運動の世界では結構な有名人らしい。

「早稲田を中退してから研究所を設立し、沖縄の基地問題や慰安婦問題などに首を突っ込んできた人です。07年には、公聴会の公述人として衆院に呼ばれたこともある。その一方で、過激な運動グループに所属していた過去もあると言われています」(前出の公安記者)

 そのことを高田氏に確かめると、

「私の過去を聞くのはやめてください! 思想調査みたいじゃないですか。たしかに60年安保闘争に参加したことはありますよ。でも、過激なセクトに所属していたことはありません」

 とまれ、デモで安倍政権を慌てさせてやろうという意気込みだけは充分である。だが、評論家の徳岡孝夫氏が言うのだ。

「デモで人数が集まったから政治が動くなんてことはもうあり得ないんです。法を変えたければ選挙しかない。60年安保闘争の時も法案は成立し、運動に失敗した社会党が大敗したことを忘れてはいけません」

 安保闘争で押し寄せる群衆を見ても、「後楽園球場はいつもどおり」と岸総理はやり返した。もう一度、国会前で気勢をあげても、祖父の悲願を果たしたい安倍氏のDNAを呼び起こすだけではないか。いわく、「東京ドームはいつもどおり」と。

「特集 棺桶に片足を入れた『安保法制』は蘇生できるか?」より

週刊新潮 2015年6月18日号掲載

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